前回は「日付変更線とは何か?〜「分からないから白紙」ではなく「何か書く」・米国本土の「4つの時間」と日本との時差・国家と経線〜」の話でした。
「川の長さ」不動のトップの信濃川の真実:信濃川と千曲川

今回は河川に関する話です。
現代、東京や大阪などの大都市にいると、河川の存在はそれほど気にならないです。
むしろ、河川は「端に追いやられた存在」であったり、東京では首都高が上に乗っていることも多いです。
実は、昔の東京=江戸、昔の大阪=大坂は共に「水の都」であり、河川は身近な存在でした。
上の地図は、江戸時代の江戸の地図の概要で、河川が縦横無尽に走っているのが分かります。
あるいは、「天下の台所」であった大坂は、元々は「河川小さな島に分かれた都市」でした。
現代では、これらの河川または海は、だいぶ埋め立ての開発が行われて、全く異なる地形となりました。
江戸時代から、江戸の河川の変化に関する話を上記リンクでご紹介しています。

中学受験で、河川の問題は頻出であり、「川の長さトップ3」は覚えておく必要があります。
そして、川の長さと水量において、「不動のトップ」が上の信濃川です。

日本列島の中で、広い部分を占める長野県付近にある信濃川が「日本最長の川」です。

実は、信濃川は「途中で名前が変わる」珍しい川です。
上の地図の通り、信濃川の「長野県部分は千曲川」「新潟県部分は信濃川」です。
河川は、「幹から枝に分かれる」時に、河川の名称が変わるのが通常です。
ところが、信濃川は「幹の部分が県境で名称が変わる」不思議な河川です。
これだけでも不思議なのに、さらに不思議なのは「新潟県部分は信濃川」です。

そもそも、信濃川の「信濃」という名前は、長野県のかつての国名が信濃であったことに由来します。
日本の旧国名に関する話を、上記リンクでご紹介しています。
そのため、本来は「長野県部分が信濃川」であり、「新潟県部分は別の名称」であるべきです。
旧国名由来ならば「長野県部分が信濃川、新潟県部分が越後川」が本来の姿と思われます。
「千曲川」という名称は、「千曲」という名称に、この地域の人々の大きな思い入れがあることが感じられます。
河川の流域面積とは何か?:急傾斜の日本の河川の断面図

これらの資料は国土交通省北陸地方整備局が作成した資料であり、「政府の考え方」を示しています。
上の地図は、信濃川の断面図ですが、河川は上流と下流では全然違います。
この断面図は、日本の河川の特徴を明確に表しています。
欧州などの河川と比較して、日本の河川は「流れが急」である傾向があります。
「信濃川367km」と言いますが、実は「千曲川214km、本当の信濃川は153km」です。
そのため、「短い方の信濃川」が「信濃川全体と呼称される」という不思議な状況です。
河川の「流域面積」を、簡潔に文章で説明して下さい。
最後に、「流域面積」の復習をしましょう。
この「流域面積」というのは、「流れの領域の面積」を意味します。
そのため、「流域面積=河川の平面的な面積の合計」と考えがちですが、違います。
A.河川全体の面積。(✖️、0点)
B.川に水が流れ込む面積。(1点)
C.雨が降って、その河川に流れ込む面積。(2点)
D.雨などの水が流れ込む土地の面積(3点)
模範解答例:雨や雪などが降ったとき、ある河川に流れ込んで集まる土地の広さの合計面積。
Aは、前述の通り、間違いなので0点。
Bは、「水」の説明が曖昧なので、1点。
Cは、「雨」に限定しており、雨以外にも雪などがあるので、2点。
Dは、「雨や雪」と書くと良いですが、「雨など」と書いてあり、「土地の面積」と明確なのが良いです。
模範解答例では、「水」の説明を「雨や雪など」としています。
河川に流れ込む「水」は、ほとんど「雨や雪」ですが、「ひょう」などもあるので、「など」が良いです。
また、河川に対して「土地の広さの合計面積」と「合計」と書いてあるのも明快で良いです。

国交省地方整備局では、「流域=降った雨がその川に流れ込む区域」と説明しています。
やや明確性に欠ける点がありますが、大体このような理解で良いでしょう。
有名な河川は、旧国名が名称となっていることが多いです。
九州最長の川である筑後川は、中学受験でよく見受けます。
河川の重要ポイントを復習しておきましょう。
上の地図などは、国交省北陸地方整備局信濃川下流河川事務所のパンフレットから転載しました。

元のページは上のようなページで、筆者が切り取って、説明しました。
このような資料は少し固めに感じるかもしれませんが、特に中高生は読むと面白いでしょう。


