前回は「経度15度で時差1時間の理由は?〜「完璧目指さず書く」記述の学び・「自分の言葉」でまとめる学び・地球の北極と南極結ぶ子午線〜」の話でした。
米国本土の「4つの時間」と日本との時差:国家と経線

「地球座標」とも言える、経線と緯線。
この経線と緯線が世界共通であることは、極めて重要な事実です。
以下の問いに対して、簡潔に文章で答えて下さい。
(1)経度15度の差で、1時間の時差が発生しますが、何故ですか?
(2)日付変更線とは何ですか?
前回は、上記の問題に対して、(1)を考えてみました。
A.地球が経線15度ごとに1時間変わるから。(1点)
B.経線は地球を360度に分割していて、24時間で地球が一周するから。(2点)
C.経線は地球一周360度を分け、地球は24時間で自転するため、360/24=15で経度15度で時差1時間。(3点)
模範解答例:子午線は地球を360度に区割りし、地球は24時間で1回自転するから、360/24=15で経度15度で時差1時間。
「経度15度の差=時差1時間」は一般常識ですが、理由を尋ねられると答えるのは意外と難しいです。
日本は東西にそれほど広くないので、日本国内では時差はありません。

ここで、大きな国家である例の一つ、米国の国内時差を考えてみましょう。
上の地図を見て、米国本土(アラスカ・ハワイを除く)の時差を考えてみましょう。
米国の本土を、経線が4本通っているのが分かります。
そのため、米国本土は、時差が4種類あり、米国本土の東と西では3時間の時差があります。
本土にアラスカとハワイを加えると、米国内には「6つの時間がある」ことになります。
東部:14時間
中部:15時間
山岳部:16時間
西部:17時間
アラスカ:18時間
ハワイ:19時間
この事実だけでも、米国という国家が「異常な国家」であることが分かります。
ハワイは、米国が19世紀に侵攻して支配下に収めました。
アラスカは、1867年に米国がロシアから購入しました。
まさに、幕末維新前夜に、この広大なアラスカの地がロシアから米国に渡ったのでした。
日付変更線とは何か?」:「分からないから白紙」ではなく「何か書く」

それでは、日本と米国の間にある日付変更線に関して、考えてみましょう。
A.この線をまたぐと日付が1日変わる線。(1点)
B.太平洋のほぼ中央にある線で、この線をまたぐと日付が1日変わる線。(2点)
C.太平洋のほぼ中央にある線で、西から東にこの線をまたいだ時に日付が1日遅れ、東から西にまたいだ時に日付が1日進む線。(3点)
模範解答例:グリニッジ天文台からおよそ180度の経線であり、太平洋のほぼ中央を通り、西から東にこの線を超えた時に前日と同じ日付とし、東から西に越えた時に翌日と同じ日付とし、日付を揃える線。
Aは、文字通り「日付変更線」を書いており、端的に日付変更線を答えています。
ある意味では、ほとんど答えていませんが、「正しい理解の一部」なので、1点です。
Bは、Aよりも「太平洋のほぼ中央にある」と位置を示している点が良いです。
Cは、Bよりもさらにきちんと説明していて、「西から東に」と「東から西に」どう変わるか表現しています。
小学生から中学生は、Cの理解で十分でしょう。
高校生以上は、模範解答例のように「グリニッジ天文台との関係」に触れると良いでしょう。
また、「線をまたいだ」という表現は一般的には正しいですが、「線を越えた」の表現の方が良いです。
「またぐ」という表現は口語的であり、このような記述では「越える」などの表現が良いです。
中学受験においては、「またいだ」でも「越えた」でも、点差はつかないと思われます。
大学受験では、表現の差として多少点差につながるかもしれません。
男子小学生Aの「この線をまたぐと日付が1日変わる線」は
日付変更線、そのままじゃない?
Aの答えは、「日付変更線=日付が変更となる線」と書いているに過ぎません。
その一方では、「日付変更線の意味」を的確に表現しているのも事実です。
上記リンクで、筆者の中学・高校の同級生が「キエフ公国=キエフの公国」と回答して1点もらった話をしました。
Aの回答も「キエフ公国=キエフの公国」と同様で、「実質何も答えていない」ことになります。
その一方で、「間違っていない回答」に対して「0点を付ける」のは、



もう少し
きちんと答えて欲しいが・・・



だが、答えとして間違っていないから、
1点くらいか・・・
採点者は「✖️で0点」には、しにくいものです。



まあ、何も書かないより、
だいぶ良いだろう・・・
そして、「何も書かない」に対しては「評価のしようがない」です。



何も書いてない白紙は
当然0点・・・
そのため、「少しでも正しいことを書く」と、多少は評価される可能性があります。
入試や試験では「分からないから白紙」ではなく、「何か書く」ことを心がけましょう。


