相似形の性質と間違えやすいポイント〜テクニックより大事なこと・相似形は「お友達」・相似形の理由・分かる辺の長さを計算・分数と少数の計算のコツ・問題13(4)解法〜|中学受験・算数実践92

前回は「相似形を発見するコツ・ポイント〜全体を見渡して見えてくる解く鍵・同じ角度を探す・相似形と相似比・問題 13(4)解法〜」の話でした。

目次

問題 13

問題13:二つの正方形(新教育紀行)
問題13:二つの正方形(新教育紀行)

相似形の性質と間違えやすいポイント:相似形の理由

問題13:図形全体を見渡す(新教育紀行)

(4)の緑色の部分の面積を求めるために、相似形を考えて必要な辺の長さを求めることを考えます。

今回の図形は「2つの正方形」から出来ているので、直角が沢山あります。

直角があると、同じ角度が沢山ある傾向があります。

図形問題と直角

・180度から直角を引くと直角:180-90=90

・直角は同一角度が見つけやすい→相似形が見つかりやすい

問題13:図形全体を見渡す(新教育紀行)

相対する平行な直線があると相似形が見えてきて、相似比がわかります。

問題13:図形全体を見渡す(新教育紀行)

すると一気に相似比が計算できると考えます。

一気に
出来るね!

問題13:図形全体を見渡す(新教育紀行)

相似形が次々に見つかり、それらの辺の長さが「1.5の倍数」なので、一気に連比を求めました。

この考え方は間違っています。

うん。
これが違うのは、すぐ分かるよ。

という方もいらっしゃるでしょう。

なんか、
合ってそうだけど・・・

なぜ、
違うのか分からない・・・

という方は、もう一度、図形全体を見てみましょう。

問題13:図形全体を見渡すv(新教育紀行)

うん。
見渡しているけど・・・

相似形の基本(定義)をもう一度確認しましょう。

図形同士が
「同じ形」だよね。

相似形とその条件

・ある形AとBが「相似」

→片方の図形を拡大・縮小すれば、もう一方の図形となる

・相似の条件

←→対応する角度が同一

←→対応する辺の比が同一

「同じ形」とは、何によって決まるでしょうか。

「平行な直線」だから、
「錯角」で同じ角度が、たくさんあるよね・・・

だから、みんな「同じ形」に
見えるけど・・・

でも、
違うのかな・・・

「同じ角度」を、しっかりと考えてみましょう。

「同じ角度」であることが、分かっているのは、今描きこまれています。

「描きこまれていない角度」は、まだ分からないのです。

問題13:図形全体を見渡すv(新教育紀行)

「三つの直線が平行」である三角形の「全てが相似形同士」であれば、先ほどの「連比」でOKです。

問題13:図形全体を見渡す(新教育紀行)

ところが、上の図で矢印の先にある二つの三角形は「一見似ている」のですが、違うかもしれません。

この二つの三角形が「相似形」であるかは、まだ不明です。

確かに
そうだね!

テクニックより大事なこと:相似形は「お友達」

水溶液の性質(新教育紀行)

これは、「言われれば、当たり前」のことかもしれません。

今回、勘違いしやすいのは、「全ての辺の長さが1.5の倍数」であることです。

「1.5の倍数(15の倍数)」は、数ある倍数の中でも、比較的「見えやすい倍数」です。

そのため、こういう数字を見ると、

これで、
一気にわかりやすくなる!

と勘違いしやすい数字です。

また、二つの三角形が「ほとんど似ている」ので「相似形である」と誤解しがちです。

「相似形」というのは、「図形のお友達」です。

酸性・アルカリ性・中性と同じように、「同じこと(性質)がある」からお友達なのです。

そこで、「お友達である=相似形である」かどうかの判断は、しっかり見てあげましょう。

図形問題でも、どんな問題でも、テクニック・コツはあります。

一方で、その「解法のテクニック」に走りすぎると「大事なこと」を見落としてしまうことがあります。

「大事なことは見落とさない」姿勢は、基本的で非常に大事なことです。

分かる辺の長さを計算:分数と少数の計算のコツ

問題13:相似比と辺の長さ(新教育紀行)

「一気に解く」ではなく、順番にしっかり計算してゆきましょう。

問題13:相似比と辺の長さ(新教育紀行)

二組の相似形があり、まずは「どちらの相似形に着目するか」が大事です。

共に「相対する辺の長さ」が分かり、辺の比が分かります。

相似形の考え方

・まずは相似比を考える(相対する辺の長さ・比)

・分かっている長さ(合計の長さ)を探す

直角三角形の場合、斜辺の長さは分からないことが多いです。

そこで、「直角を挟む二辺の長さ」に着目しましょう。

今、考えている「2組の相似形」を比較します。

相似形を比較

・左側の水色の相似形:辺の長さ・合計ともに不明

・右側の青色の相似形:一つの辺の長さ=1.8cm

左側の「水色の相似形」は
分からないことが多い・・・

でも、右側の「青色の相似形」は、
一辺の長さと比が分かっていね!

「分かっていること」が多い「青色の相似形」を先に考えてみましょう。

問題13:相似比と辺の長さ(新教育紀行)

これで、「右側の相似形の組」から、辺の長さ=1.2cmが計算できました。

問題13:相似比と辺の長さ(新教育紀行)

すると、「右側の相似形の組」の「対応する辺の長さの合計=5.7-1.2=4.5cm」が分かります。

対応する辺の長さは、「片方か合計が分かる」ことが大事です。

これで計算できますが、小数点の計算と分数の計算です。

こういう時は、「両方分数に直して」計算するようにしましょう。

問題13:相似比と辺の長さ(新教育紀行)

ここで、先ほど「相似形(同じ)かな?」と思った二つの三角形。

ちょっと
違う形だったね!

これらの三角形は「相似形ではない」ことが分かりました。

問題13:相似比と辺の長さ(新教育紀行)

ここからは計算するだけですが、しっかりやりましょう。

問題13:相似比と辺の長さ(新教育紀行)

こういう計算を、問題集の解答などで見て、

これは
出来るからいいや。

「飛ばさないこと」が大事です。

計算だけでも、手を動かして実際にやってみましょう。

そういう姿勢が、「計算だけではなく、問題全体を理解する」姿勢につながります。

新教育紀行

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