歌詞から学んで読み解く力を増強〜財津和夫“Wake Up”の歌詞・「学び舎への道」と「嫁ぐ道」の意味・「道」のイメージと人生〜|中学受験・読解力と読み解く力6

前回は「「極めて異例のこと」を読み解く思考〜曖昧な日本語の「極めて」の意味・「自分なりに解釈する」学びと本質的学力・「強調する言葉」の効果〜」の話でした。

目次

歌詞から学んで読み解く力を増強:財津和夫“Wake Up”の歌詞

新教育紀行
五島の海(新教育紀行)

今回は、歌の歌詞から読み解く力を増強する話です。

「読解」力と「読み解く」力

・「読解」力=文章に「書いてあること」を的確に把握して処理する力

・「読み解く」力=文章に「書いてないこと」を深読みして理解して表現する力

中学受験〜大学受験では、「読解力を上げる」話が、頻繁に、そしてよく聞かれます。

もちろん、読解力の増強は大事ですが、「読み解く力」を上げることは、「文章や状況を深く読み込んで、奥深く考える」点で非常に重要と考えます。

1980年の歌で、現在2026年の46年前の歌ですが、下記の問題を考えてみましょう。

「読み解く力」を鍛える問題4

下記は、財津和夫が作詞・作曲して自身が歌い、1980年に大ヒットした“Wake Up”の歌詞です。

“Wake Up”は、英語で“起きろ”の意味であり、比喩的意味も含みます。


Wake Up

作詞・作曲 財津和夫

Wake Up Wake Up 

今愛がつきぬける

涙をふいたら 行きなさい

あなた(3)が生まれた家をうしろに

白い吐息はずませて 通ってた

学び舎(や)への道(1) 今日は嫁(とつ)ぐ道(2)

落とせない荷物(4)は あなたの心

そして微笑んだ あの人の写真

Wake Up Wake Up Wake Up Wake Up 

今愛がつきぬける あの人へ あの人へ

朝もやけむった 駅のホーム

じっと見送る 年老いた人(5)

動き出した汽車に向かい その人は

娘に初めて おじぎをした

ずっとあなたを 守ってきた

その愛に もう戻れない

Wake Up Wake Up Wake Up Wake Up 

今愛がつきぬける あの人へ あの人へ

磨かれた皮靴というよりも

洗いざらしの ズックのような

そんな心で 愛してごらん

あなたが選んだ あの人を

Wake Up Wake Up Wake Up Wake Up 

今愛がつきぬける あの人へ あの人へ

Wake Up Wake Up Wake Up Wake Up 

今愛がつきぬける あの人へ あの人へ


財津和夫は、1948年に生まれ、大人気バンド“チューリップ”のリーダーを務め、1970年代から1980年代の“ニューミュージック”と呼ばれた日本の歌謡界を牽引したトップアーティストの一人です。

日本の鉄道では、1975年頃まで汽車が使用されていました。

時代背景は現代と異なることを念頭に、下記の問題に答えてください。

(1)下線部(1)「学び舎(や)への道」、下線部(2)「嫁ぐ道」とは、それぞれ何を意味しますか。具体的に15字前後で答えて下さい。

(2)下線部(1)「学び舎(や)への道」、下線部(2)「嫁ぐ道」では、同じ「道」が二度使用されていますが、その理由を20字前後で説明して下さい。

(3)下線部(3)の「あなた」は、具体的にどのような人物を意味しますか。具体的に15字前後で答えて下さい。

(4)下線部(4)の「落とせない荷物」は「あなたの心」ですが、なぜ「荷物」なのですか。理由を20字前後で答えて下さい。

(5)下線部(5)の「年老いた人」は、具体的にどのような人物を指しますか。「あなた」又は「あの人」との関係に触れながら、具体的に20字前後で答えて下さい。

まずは、上の問題を考えてみましょう。

「学び舎への道」と「嫁ぐ道」の意味:「道」のイメージと人生

新教育紀行
空の雲(新教育紀行)

この記事は、小学生である中学受験生から、高校生である大学受験生までを対象としています。

アーティストの歌は、いわゆる「ラブソング」が多く、男性アーティストが歌うと「女性への思い」であり、女性アーティストが歌うと「男性への思い」であることが多いです。

筆者は、「恋愛に関する物語や歌詞など」を問題の題材とするのは、小学生に対しては、あまり好ましくないと考えます。

中学生から高校生に対しては、「恋愛などの話」は教育上良い面があると考えます。

上の“Wake Up”は、ラブソングのカテゴリーを逸脱し、広く人生一般において大事な概念と考え、題材としてとても良い判断しました。

早速、(1)から考えてみましょう。

「読み解く力」を鍛える問題4(1)

(1)下線部(1)「学び舎(や)への道」、下線部(2)「嫁ぐ道」とは、それぞれ何を意味しますか。具体的に15字以内で答えて下さい。

現在では、「学び舎(や)」という言い方はあまりすることがなく、「嫁(とつ)ぐ」という言葉を使用することは、ほとんど見かけなくなりました。

“Wake Up”が大ヒットした1980年は昭和55年であり、日本は戦後復興期と高度成長期を経て、大国の一つに躍り出て、かなり勢いがあった時代です。

現代では「大昔」の雰囲気がある1980年は、敗戦(終戦)後35年を経た時期であり、当時は「敗戦(終戦)」は「近い過去」だったと考えます。

終戦前夜の話を、上記リンクでご紹介しています。

まもなく1980年代の「バブル景気」を迎える時代で、ある意味で「黄金のように輝く昭和後半の時代」でした。

1980年代、「バブル日本」の話を上記リンクでご紹介しています。

「嫁ぐ」という表現が用いられていますが、現代では「女性差別」の観点から使われることがほぼなくなり、普通に「結婚」などの表現となります。

「学び舎(や)への道」は直訳すると「学校への道」、又は「通学路」となりますが、これでは答えとして不十分です。

この歌では「道」は比喩的に用いられており、「道」は重要なイメージです。

その一方で、「道」とは、ある人の「道」であり「道路などの道に限定されない」点が重要です。

そして、「道」とは、人生における「一つの過程・プロセス」を示していると考えられます。

これは(2)の問題につながりますが、後ろの「嫁ぐ道」との関係で「道」と表現されています。

「読み解く力」を鍛える問題4(1):解答例

1.「学び舎(や)への道」=「学校への道」(1点)

「嫁ぐ道」=「結婚への道」(1点)

2.「学び舎(や)への道」=「学生時代の生活」(2点)

「嫁ぐ道」=「結婚への生活」(2点)

3.「学び舎(や)への道」=「学生時代に懸命に学んだ生活」(3点、模範解答例)

「嫁ぐ道」=「これから結婚に向かう生活」(3点、模範解答例)

解答例と模範解答例は上の通りです。

これらの解答は、様々な解釈がありえるので「ほんの一例」となります。

1点である1、2点である2の解答は、いずれも不足している点があります。

3は、「懸命に」の言葉に、後段の「白い吐息はずませて 通ってた」を具体的に盛り込んでいる点が良いです。

「学び舎(や)への道」が「白い吐息はずませて 通ってた」に対して、「嫁ぐ道」には、「白い吐息はずませて 通ってた」に相当する言葉がありません。

これには理由があり、この時点では過去である「学び舎(や)への道」から、未来に向かう「嫁ぐ道」へ移行する点がポイントです。

「道」は比喩なので、「生活」くらいで良いと思いますが、「道」というイメージを盛り込むと下記になります。

「読み解く力」を鍛える問題4(1):解答例2

「学び舎(や)への道」=「学校中心の一生懸命学ぶ日々の人生」(3点、模範解答例)

「嫁ぐ道」=「これから結婚する移行期の人生」(3点、模範解答例)

“Wake Up”はYou Tubeで視聴可能であり、CD版も良いですが、筆者はライブ版(1984年“チューリップ・イン・パゴダ”)をお勧めします。

次回は(2)を考えます。

新教育紀行

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