日本も開発に乗り出していた原爆〜仁科芳雄の奮闘と日本の国力・最先端科学者たちの米国結集・新型兵器製造目指したヒトラー〜|ヘンリー・スティムソン18・人物像・エピソード

前回は「日本を知り尽くしていたスティムソン〜原爆開発に乗り出した天才物理学者フェルミ・欧州のユダヤ人排斥・満州事変と国際連盟脱退〜」の話でした。

ヘンリー・スティムソン陸軍長官(Wikipedia)
目次

最先端科学者たちの米国結集:新型兵器製造目指したヒトラー

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米軍機の攻撃を回避する空母赤城(歴史人2019年9月号KKベストセラーズ)

1942年の6月頃、ちょうど日米海軍がミッドウェー海戦で雌雄を決した頃に、米国は大きな決断をしました。

スティムソン

いよいよ我がUnited Statesが
新型爆弾を開発する!

スティムソン

莫大な経費がかかる
見込みだが・・・

スティムソン

必ず、新型爆弾を
Germanyよりも早く作ってみせる!

米国は、それまで着々と準備を進めていた新型爆弾・原爆の開発を本格始動しました。

当時の大日本帝国同様に、米国にも陸海軍(空軍は未分化)あり、どの国でも主導権争いがありました。

そして、どの国でも「概ね陸軍の方が強力」であり、

スティムソン

我が陸軍が主導して、
新型爆弾を開発する!

米国では、主として陸軍が管轄し、大統領直属の「マンハッタン・プロジェクト」として始動しました。

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レズリー・グローブス准将(Wikipedia)
スティムソン

グローブス准将よ!
任せたぞ!

グローブス

はっ!
お任せを!

「マンハッタン・プロジェクト」の総責任者に就任したのは、まだ46歳の若きグローブス准将でした。

グローブス

最高の科学者たちを集め、
莫大な経費を差配して・・・

グローブス

必ず、必ず
新型爆弾を開発してみせます!

チャーチル英首相が「巨大ボイラー」と表現した米国には、世界中から優れた科学者たちが集結しました。

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アドルフ・ヒトラー独総統(Wikipedia)

ユダヤ人を
この世から消すのだ!

ヒトラー総統による「ユダヤ人撲滅計画」により、多数のユダヤ人関係者が欧州から米国に逃れました。

この「最先端科学者の欧州から米国への逃避」によって、最高の科学者たちが米国に向かったのでした。

ドイツ軍幹部

ヒトラー総統!
ユダヤ人排斥を続けては・・・

ドイツ軍幹部

優れた科学者たちが、
Europeからいなくなってしまいます!

この懸念は、当然ドイツ内部でも明白でしたが、

我がドイツの科学が
最先端なのだ!

多少の科学者が
Europeから、いなくなっても問題ない!

我がGermanyが新型爆弾や
新型ミサイルを作り出すのだ!

超強気のヒトラー総統は、ドイツが最先端であることを信じていたのでした。

そして、ドイツでは、新型爆弾のみならず、新型ミサイルなどの新型兵器が多数開発されました。

日本も開発に乗り出していた原爆:仁科芳雄の奮闘と日本の国力

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科学者 仁科芳雄(Wikipedia)

実はこの頃、当時の日本でも、後に原爆となる新型爆弾の開発計画が発動していました。

仁科芳雄

確かに、莫大なエネルギーを
生み出す爆弾が製造可能だ・・・

1890年に生まれ、東大(東京帝国大学)を卒業した仁科は極めて優れた科学者でした。

欧州に留学経験があり、当時50歳前後だった仁科は、まさに脂が乗り切った時期でした。

当時、世界中でも数少ないサイクロトンを実際に作成することにも成功した仁科。

理論物理学だけでなく、理論を技術に転化させることにも長けた優れた人物でした。

そして、湯川秀樹や朝永振一郎らに影響を与え、日本の素粒子物理学の父のような存在だった仁科。

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原爆の基本原理(Wikipedia)
仁科芳雄

理論的には、
絶大な爆弾を生み出すことが可能だ・・・

当時、「日本最高の頭脳を持っていた」と表現しても良い仁科に対し、

大日本帝国陸軍

仁科博士、
ぜひ新型爆弾開発を任せたい!

仁科芳雄

はい・・・
分かりました・・・

大日本帝国陸軍は白羽の矢を立てて、開発の主導権を任せることにしました。

大日本帝国海軍

仁科博士、
帝国海軍のために新型兵器を!

仁科芳雄

はい・・・
分かりました・・・

仁科博士は、大日本帝国陸海軍から「引っ張り凧」のようになりました。

「険悪な仲」であることが多い各国陸海軍ですが、帝国陸海軍は「険悪を超えた仲」でした。

例えば、同じ戦闘機を開発しているのに、

大日本帝国陸軍

海軍の連中には
絶対にわからないようにせよ!

大日本帝国海軍

陸軍はうるさいから、
陸軍の連中に見えないように!

同じ国なのに、戦闘機開発の際には「巨大な塀」を陸海軍の開発部の間に設置しました。

「険悪」を超えて「超仲が悪い」間柄だった陸海軍では、意思の疎通は極めて脆弱でした。

仁科芳雄

陸海軍が色々と
開発の依頼をしてくる・・・

科学者として、「殺人につながる兵器開発」は気の進む話ではありませんでしたが、

仁科芳雄

お国のためだ・・・
なんとか開発を・・・

そして、新型爆弾以外にも、強力な電子ビームなど様々な兵器の開発に邁進した仁科。

仁科芳雄

我が国には、
原料となるウランが少ない・・・

ところが、そもそも大日本帝国では、原料のウランなどが少ない状況で、

仁科芳雄

難しいが、
なんとか新型兵器を・・・

新型爆弾開発に関しては、

仁科芳雄

理論的には可能ですが、
実現は、かなり時間がかかるでしょう・・・

大日本帝国陸軍

だが、米国も開発を
しようとしているはずだが・・・

仁科芳雄

米国といえども、
数年は、かかるはずです・・・

仁科芳雄

とても、2〜3年では
無理です・・・

最先端物理学を理解していた仁科は、「2〜3年では絶対無理」と考えていた原爆開発。

グローブス

とにかく、3年以内に
絶対に完成だ!

ところが、米国では「絶対無理な3年以内に新型爆弾(原爆)開発」を、本気で超強力推進していました。

グローブス

必ず、必ず
期限は守るのだ!

そして、超巨大ボイラー米国で、オッペンハイマーら科学者たちが奮闘し続けたのでした。

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