前回は「平易ながら奥深い戦前昭和の中学入試国語〜短か過ぎる文章題の文章量・極めて平易な戦前昭和の中学受験算数・簡単過ぎる計算問題〜」の話でした。
「作文的要素」があった戦前の中学入試国語:答えが文章にない国語

1934年度(昭和9年度)の戦前の中学入試問題の算数は、極めて易しい出題でした。
例に挙げた日立中学校が、どの程度の難易度の学校だったか、の情報は筆者は把握していません。
難易度にもよりますが、それでも現代の視点からは「あまりに平易な算数」でした。

その一方で、国語は現代の出題とは異なり、文章量が極めて少ないですが、奥深い出題でした。
出題者なぜ、諸君にも大いに奮発して
頂きたいというのでしょう。
中学受験から大学受験の国語において、「なぜですか?」は、最も多い出題形式です。
「文意を汲む」ことが求められる国語の出題では、「なぜ?」を聞くのが最も根幹だからです。
算数(数学)・理科・社会でも、「なぜ?」をいう問題もあります。
国語の「なぜ?」という問題は、ほとんどの場合で「文章内に答えがある」です。
それに対して、上の出題では「答えが文章中にない」出題であり、全く異質な問題でした。



この文を読んで、次の問に
答えなさい。
読むべき文章が「たった四行」しかなく、さらに一行当たりの文字数が少ないです。
そのため、現代の中学受験国語の分量ならば、「二行程度の文章」となります。
いわば「作文的要素」が強く、現代の視点から見ると、「国語の範疇を超えた」出題でした。
現代の中学受験国語においても、このような「作文的要素」を含む出題もあるかもしれません。
上の出題は、ある意味で大変興味深く、回答は様々考えられると考えます。
「理科の根幹」を尋ねた戦前の中学入試理科:「重力の向きは、どう決める?」


「たまたま」かもしれませんが、この年の日立中学校の理科の出題は、少ない出題でした。
理科は、上の出題のみでした。



重力の働く向きを定めるには、
どうしますか?
「少ない」ですが、意外と難易度が高いです。
誰でも知っている「重力の働く向き」。





りんごが落ちる向きは、
いつも同じだ!
「りんごが落ちる方向」から、「重力の法則に気づいた」というニュートンの逸話があります。
この逸話の真偽は別として、逸話自体は広く知られており、「重力の方向」は「理科の前提」でもあります。
そもそも、小学校の理科・中学受験の理科で、「重力の向き」は「当たり前」です。


中学受験で必須の、バネ・てこの問題は「重力の方向」を前提にしなければ解けません。
バネ・てこの支点に関する話を、上記リンクでご紹介しています。
ところが、



皆さんは、重力の向きは
知っていると思います。



では、どのようにして、重力の働く向きを
決めたのでしょうか?
そもそも「どうやって、重力の向きを決めたのか?」と尋ねてきた、理科の出題者。
これは、「りんごの話」を書いても良いですが、パッと答えられる小学生は少ないと考えます。
この意味では、「なかなか難しい」問題です。



銅線に電気が流れているかどうかを
調べるには、どうしますか?


電気の問題は、大抵は電流の大きさが問われます。
「電流が通らない部分がある回路」も出題されますが、多くは「電流は通っている」ことが前提です。
この「電流が通っていることを調べる」ことは、理科の基本中の基本です。
この問題も、きちんと答えられる中学受験生は、多くはないと考えます。



電流計で
測ればいいじゃん!
このように「電流計で測る」も正しい答えですが、「電流計がない場合」を考えてみましょう。
続いて、



アルカリ性とは
どんな性質ですか?
「アルカリ性って何?」と尋ねてきました。
これは、なかなかハイレベルであり、現代の大学受験で出題されても良いように筆者は感じます。
以上のとおり、戦前の中学受験理科は、極めて根幹的視点であり、かなりハイレベルでした。
次回は、社会を見てみましょう。
次回は上記リンクです。



