前回は「合格の秘訣・ポイント〜記述問題など様々な問題への対処〜」の話でした。
愛光中学の入試が終わり、いよいよ関西圏の中学入試は本格的になってきました。
2月1日以降が多い関東圏の中学入試・高校入試・大学入試など、様々な入試が本格化の時期を迎えます。
今回は、試験当日の「合格するための」大事な秘訣とポイントの姿勢の話です。
出題に「記述問題を含む」学校の入試に関する話で、「答えのみ」あるいは「選択肢のみ」の出題の学校の話は別です。
「記述問題」というと「答えのみ」や「選択肢のみ」より難しく感じるかもしれませんが、「短い記述」も含みます。

前回ご紹介しましたが、「記述問題を出題する」のは日本のみならず、世界的な流れと考えます。
「単なる知識やテクニックの力を見る」選択肢や答えのみの出題よりも、受験生の力を計るのに適しているからです。
中学入試において、実に様々な試みがなされています。
これらの「新しい試み」を考えることは、出題者側の中学校の教員からすると、大変なことです。
さらに大変なことは、「考えるだけ」ではなく「実行すること」です。
「新たな試み」を実行することは、非常に大変なことであり、さらに「公平性が求められる」試験では尚更です。
記述問題が「増加傾向になる」のは、「新たな試み」を実行するよりも「比較的容易」であることがあります。
さらに「記述問題」によって、「受験生に書いてもらう」ことで受験生の学力・指向性が良く分かります。
これは、入試を課す中学校側から考えると非常に大事なことです。
中学入試において、「入学者を選抜する試験」である以上、様々な能力に対して審査する必要があります。
この時、「知識がある・テクニックがある」と試験の点数は増加しますが、これらはそれほど大事なことではないでしょう。
中高一貫校の学校にとっては、「入学時に何を知っているか」よりも大事なことがあります。
それは、「入学後の6年間で、何を積極的に学ぶか」です。
これは長い期間であり、非常に大事な視点です。
「中高6年間」は、後で考えると「あっという間」ですが、何事も人生は後で考えるとそうなります。
さらに、この6年間は思春期を含む意味では、「大学・大学院の6年間より重要」とも言えるでしょう。

どのような形式であれ、「時間を限った試験で、どこまで受験者を判別できるか」は、様々な考えがあります。
「審査しなければならない」以上は、基本的に「試験の形式」にするしかありません。
場合によっては、面接等の「人物を測る」試験も含みます。
面接等は「人となりや個性」が非常に分かるので、大変良いことです。
一方で「人と会って、相手を審査する」のは、教育者にとっては大変なことです。
あの西郷隆盛ですら若い20代の頃、橋本左内を「最初は軽んじる気持ちがあった」と言われています。
これは、西郷自身がまだ若造の20代でしたが、幕末風雲の頃は現代とは異なり非常に大きな経験をします。
そして、西郷自身の素質を考えると「人を見る力」は、非常に難しいことが分かります。
「客観的に人を判断すること」は不可能であり、どうしても「主観」が入り、「好き嫌い」があります。
この観点から「対面ではなく、文章で」審査する記述問題は、「受験生の本質を測る」上で最適とも考えられます。
「これまで出題されたことがない」学校の志望者の方も、「出題されても大丈夫」な心構えをしておきましょう。
試験である以上、記述問題にもコツ・ポイントがあります。
しかし、それは図形問題などのコツ・ポイントよりも、「類型化される対象ではない」と考えます。
図形問題などの算数の問題では、「こういう視点で考えると考えやすい」というコツ・テクニックがあります。
そうしたコツは「学んでいる間に、自ら身につける」のが望ましいですが、それらを学ぶ・習得することも多いです。
記述問題に関してもコツなどがありますが、出題者が問いたいのは「コツ・テクニック」ではありません。
こういう問題に関して、
あなたはどう考えますか?
という「考え方」や「将来性」を問うているのです。
この時、受験者側が「コツ・テクニック」を振るって答えたところで、「教育のプロ」である採点者は、
ああ、これは「こういう風に書く」と
習ったんだな。
と一瞬で見破るでしょう。
そして、そういう答案には、
上手く書けているけど、
もう少し本人の考えが入っているといいけどな・・・
と考えるでしょう。
「記述問題の回答に対して、どのような点を与えるか」は、学校ごとの個性・カラーによるでしょう。
直前期となり、これまで様々な勉強をしてきた受験生の方々は、特に記述問題への大事な姿勢があります。
それは、「自分の思うことを素直に、思い切り書いてみる」ことです。
そういう「自分らしさが出ている」答案の方が、採点者は、
これは、
ちょっとまとまってないけど・・・
一生懸命考えて、
表現しようとしている・・・
と考えるでしょう。
入試当日、記述問題に出会った時、
これは、これまでやったことのない
タイプの問題だ・・・
と感じたら、自信をなくすのではなく、逆に
僕が感じたこと・考えたことを
ハッキリ書こう!
と、むしろチャンスと捉えて前向きになりましょう。
そういう姿勢が積極性を生み、記述問題の良い回答に結びつくでしょう。
そして、最終的には「合格へより大きく近づく」ことになると考えます。