徳川幕府の終焉と新しい時代〜突然崩壊した封建制度・大村益次郎の登場・新政府軍と彰義隊の死闘〜｜後藤新平6・少年時代・性格

前回は「幕末のうねりに飲み込まれてゆく仙台藩〜仙台藩と会津藩・新政府軍と松平容保・幕末の大きな岐路・会津松平藩・徳川家康の元の名前「松平」〜」の話でした。

徳川幕府の終焉と新しい時代：突然崩壊した封建制度

新政府軍に降伏した第十五代将軍 徳川慶喜。

当初、徹底抗戦を唱え意気揚々としていた将軍慶喜でした。

長州藩に対しては、

と大いに勇み、第二次長州征討を実行するも、「遥か格下」の長州藩に幕軍が返り討ちに遭う事態になりました。

意気消沈する頭脳明晰な慶喜は「ある究極の案」に飛びつきました。

「坂本龍馬発案」とされる大政奉還は、土佐藩の参政（首相）後藤象二郎が推進しました。

将軍慶喜の家臣である藩主 山内容堂の家臣（重臣）である後藤象二郎は「陪臣」です。

本来、将軍慶喜に「会える身分ではない」ですが、緊急時ゆえ、将軍慶喜は直接会って話を聞きました。

写真を見るからに「かなり太々しい性格」の後藤ですら、「冷や汗ビッショリ」となりました。

一気に決断して、大政奉還しました。

ところが、

「これで一区切り」と考えた慶喜でしたが、薩長はあらゆる手段で徳川を消そうとします。

これには、さすがの将軍慶喜は怒り心頭で、

意気揚々と、江戸から最前線の京へ乗り込みました。

ところが、ここで、慶喜が「真っ青になる」事態が発生しました。

「まさかの朝敵指定」（諸説あり）によって、当初の意気が急にどこかへ行ってしまい、

となりました。

このように時代が急速に流れる中、幕臣・旗本たちも懸命に徳川を守ろうとしていたのです。

特に1867年の一年は、時代が急変し過ぎて、幕臣・旗本たちは、

理解することが出来ません。

「理解できない」のは頭の良し悪しによるのではなく、「薩長が魔術的」だったからでした。

そして、よく分からないままに「朝敵の一党」とされた徳川家の旗本・幕臣たち。

将軍が降伏したからと言って、納得しない親徳川派の武士が多数残っています。

中でも、上野に立て篭もり新政府軍に頑強に対抗する姿勢を鮮明にした彰義隊。

隊名の由来は、「義を彰らかにする」です。

屈強の武士が立て篭もり、苦戦が想定されます。

大村益次郎の登場

倒幕がほぼ見えてきた頃、長州総帥の桂小五郎（木戸孝允）は大いに焦ります。

早い時期から爆発し続けていた長州藩。

欧米列強に攻められ、幕府からも攻められ、長州という国家は長い危機存亡の期間を迎えました。

禁門の変、幕府による長州征討などで、次々に優れた人物が亡くなってゆきました。

優れた人物の宝庫のようだった長州でしたが、幕末には「人材不足」に陥ります。

ここで、適塾出身で医師の村田蔵六に目をつけた木戸。

新政府軍と彰義隊の死闘

強力な武力を持つ彰義隊が上野に立て篭もります。

そして、新政府軍は桂（木戸）の強力な推薦により、村田（大村）が戦争の指揮を取ります。

この頃、新政府軍内部でも権力闘争を含めて、既に人間関係がギクシャクしていました。

これは、「西郷大嫌い」の桂の影響もあります。

彰義隊と戦う布陣（戦闘配置）を決める際、村田は薩摩軍を「最も苦戦が予想される黒門」へ配置します。

連戦で屈強の薩摩藩士にも、多数の死傷者が出ています。

この話は作り話の可能性もありますが、これくらい「薩摩と長州がギクシャクしていた」事態でした。

西郷は内心怒り心頭だったでしょうが、勇猛な薩摩兵を率いて、彰義隊征伐に向かいました。

彰義隊の戦闘力に苦戦するも、村田蔵六の冷静な采配とアームストロング砲で鎮圧します。

幕末は米国からペリーやハリスがやってきたり、英仏露などから様々な使節がやってきました。

とはいえ、江戸時代は、おおむね平和だったのでした。

庶民の暮らしは、現代よりもはるかに厳しいものでしたが、皆が平和な時代を過ごしていたのでした。

10歳の後藤が住んでいた仙台周辺で、大きな戦争が始まってしまったのです。

小学校4年生頃に、この「平和から戦争へ」という極めて大きな変化が訪れました。

大人でも、

分からない事態において、子どもたちはなおさら大混乱でした。

この変化が、後藤のその後の人生にも、極めて大きな影響を与えます。