前回は「幕末から飛躍的に大強国となった大日本帝国〜大躍進の原動力「学校設立」・「民間の力」を重視し続ける米国・私立中心の欧米校・「国立中心」発想が根強い日本の学校制度〜」の話でした。
結婚に前向きになった山川咲子：会津の精神を「引き継ぐ者」として
山川浩私塾や学校設立は
夢があって、とても良いが・・・
山川浩ちょっと難しく、
時間もかかる・・・
山川咲子そうね・・・
諦めようかしら・・・
山川浩うむ・・・
それが良いかもな・・・
ここで、兄・浩は思い切って咲子に言いました。
山川浩咲子・・・
結婚してはどうか？
山川咲子兄さんも、
「結婚」という話になるの？
山川浩ああ・・・
咲子は我々会津人の誇りだ・・・
こう言った浩の脳裏には、「会津の地獄」が立て続けにフラッシュバックされました。
1867年から1877年までの11年間の間、「筆舌に尽くしがたい」人生となった会津人。
山川浩会津のみんなは、
咲子が幸せになることを望んでいる・・・
山川咲子そうね・・・
確かに結婚が「女性の幸せ」なのかしら？
山川浩咲子のことをきちんと
理解出来る相手を・・・
山川浩私が責任持って
探そう・・・
山川浩だから、頼むから
結婚に前向きになって欲しい・・・
敬愛している兄・浩に、ここまで言われては、咲子としては、
山川咲子うん・・・
分かったわ・・・
こう答えるほか、選択肢がありませんでした。
そして、「会津の精神を引き継ぐ者」として、結婚に前向きになった咲子。
咲子の結婚相手の絶対条件「非薩長+特に薩摩は絶対NG」
この頃は、明治政府が学校設立を猛烈に推進していた時代でした。
| 設置年 | 大学名 |
| 1868年 | 陸軍士官学校（前身の兵学校） |
| 1869年 | 海軍兵学校（前身の海軍操練所・海軍兵学寮） |
| 1877年 | 帝国大学（最初の帝大、東京帝国大学） |
まだまだ、徳川の香りが強く残存していた明治二年（1869年）には、陸軍士官学校が設立されました。
まだまだ黎明期でしたが、浩たちが会津戦争を戦っている頃に、設立された陸軍士官学校（陸士）。
そして、陸士出身ではないものの、バリバリの軍人・武士として、陸軍大佐だった浩は、
山川浩陸軍の若い士官に
咲子に合う男性はいるだろう・・・
ここで、浩は、陸軍エリートの士官たちを様々思い出しました。
山川浩だが、当然、
薩摩と長州はダメだ！
山川浩特に薩摩だけは・・・
絶対にダメだ・・・
ところが、当時、陸軍も海軍も牛耳っていたのは薩長でした。
そのため、陸軍も海軍も士官は、薩長人が圧倒的に多い時代でした。
山川浩あいつは長州、
こいつは薩摩・・・
山川浩うむぅ〜、
改めて考えると薩長ばかりだ・・・
この中から、咲子に合う人物を結婚相手として探す必要があった浩。
A.もともとそれなりの名家出身で将来有望なエリート
B.留学した咲子の生き方や考え方を尊重する理解ある人物
C.薩摩と長州は絶対に不可
相手の人間性、咲子との相性が最も重要ですが、客観的条件が上の三つでした。
咲子の結婚相手の条件のうち、最も重要な三つの条件が上の条件でした。
ところが、これだけの条件を的確に満たす人物は、極めて少数派でした。
そもそも、当時「Aの人物」=「Cの人物」であることが多い状況でした。
ただし、薩長以外の「将来有望な人物」は何人かは見当たります。
山川浩SはAはバッチリでBもまあまあ・・・
いかん！奴は薩摩だ！
AとBの条件に合う人物ならば、陸軍士官に何人かすぐに思い浮かびますが、薩摩か長州は除外です。
浩と咲子にとって、「AとBの条件」は「絶対に近い」ものの「Cの条件」と比較すると、
山川浩AとBは
譲れないが・・・
山川浩Cの薩摩か長州であっては、
全てが終わる！
山川浩やはり消去法で、
まずは「薩長を消す」しかない・・・
どう考えても、「まずは薩長を消す」のが最適でした。
この頃、咲子は、「結局、結婚しかない」道に対して、ちょっと不満を感じていました。
山川咲子結婚するしか
道はないの？
兄・浩の気持ちを十分過ぎるほど理解していた咲子でしたが、「結婚するしかない」のが理解できませんでした。
挙げ句の果てに、当時の日本の社会通念では、「20歳過ぎた女性」は「婚期が過ぎた」扱いでした。
山川咲子なぜ、「20歳」という
画一的な枠が存在するの？
山川咲子生き方は、
人それぞれでしょ・・・
岩倉使節団に随行して、米国留学して、一生懸命学んだ咲子。
1860年に生まれた咲子は、現代の11歳、小学校五年生頃に米国に向かいました。
そして、11年米国に滞在し、日本語よりも英語の方が達者になりました。
そして、考え方・思考性もまた米国流になっていた咲子。
山川咲子なによ・・・
一生懸命学んだのに・・・
「花婿探し」真っ只中の兄・浩に感謝しつつ、咲子の苛立ちは止まりませんでした。
そして、米国の友人に手紙を送りました。
山川咲子20歳を過ぎたばかりなのに、
もう「売れ残り」ですって！
山川咲子この世界、あなたに
想像できる？
まさに「憤懣やるせない気持ち」だった咲子。
「この世界=当時の日本社会」は、当然「米国流の思考」では「想像できない暗黒の世界」でした。
山川浩難しい・・・
A,B,Cの全ての条件を満たす人物は・・・
山川浩特に、咲子の留学経験を
尊重して欲しい・・・
山川浩だが、薩長は絶対ダメだ・・・
特に薩摩だけは・・・
「咲子の結婚相手探し」に苦悩し続けた兄・浩。
山川浩どうだろうか・・・
A,B,Cの条件に合う陸軍士官で誰かいないか？
陸軍士官Tう〜む・・・
薩長絶対NGか・・・
陸軍士官Tそして、留学経験を
尊重して、名家出身で・・・
陸軍士官T・・・・・
陸軍士官T難しいが、浩の妹さんだ・・・
気に留めておこう・・・
山川浩よろしく
頼むな・・・
陸軍士官内部で、浩は親しい将校たちに相談しました。
この浩の動きを、遠くから一人の人物が知ることになりました。
その人物とは、参議・陸軍卿の大山巌。
