米空母出撃を確信していた山口多聞〜「日本の象徴」となった大和・異様に楽観的だった日本海軍・米軍の電信傍受と無線封鎖・日本の動きを完全に把握する米軍〜|山口多聞30・ミッドウェー・能力

前回は「日米の科学技術の圧倒的な差〜航空隊と電話できた米国の科学力・攻撃の原動力の若手将校たち・淵田美津雄と源田実・連戦に大きく疲労していた将兵たち:不吉な相次ぐ体調不良〜」の話でした。

山口多聞 司令官(Wikipedia)
目次

日本の動きを完全に把握する米軍

Chester Nimitz米太平洋艦隊司令長官(Wikipedia)

Nimitz長官。
Japanの艦隊は、今この辺りです。

そうか!

引き続き、
動きを捕捉せよ!

ははっ!

とにかく、情報が
最優先なのだ!

米国は情報(諜報)を、非常に重視していました。

どの程度の人数や装備の部隊が、
いつ、どこに出てくる可能性があるのか・・・

そして、どのような将軍・提督に率いられて
いるのか・・・

そうした情報は最重要であることは
当然のことだ!

「情報・諜報が最重要」が当然という姿勢の米軍。

そもそも、ある程度の情報・諜報がなくて、
どうやって作戦計画を立てるんだ?

この米軍の姿勢とは対照的に日本軍は、情報に対しては大して重視しませんでした。

まあ、情報がわかれば
良いのだけど・・・

要は大和魂で
敵を叩き潰せば良いんだろう!

こんな感じで、敵の情報を探る組織は貧弱でした。

異様に楽観的だった日本海軍:米軍の電信傍受と無線封鎖

戦艦大和(Wikipedida)

ハワイ・ミッドウェー周辺では、盛んに電波の交信が見られました。

科学技術の劣る日本海軍でも、この程度のことはバッチリ把握できます。

山本長官!
ハワイ・ミッドウェー周辺で敵信(電信)が盛んです!

山本五十六 連合艦隊司令長官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

うむ・・・

どうも、米軍に大きな
動きがありそうです。

なに!?

ふむう。

米空母は、
出てくるのか?

「米空母は出てこないのでは?」と考えていた山本長官。

予想と
違うな・・・

草鹿参謀長と「全ての敵信(米軍の電信)は、前線に知らせる」約束をしていた山本長官。

この敵の電信は、
前線の南雲・草鹿に伝えねばな。

草鹿龍之介 第一航空艦隊参謀長(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

おい。
赤城へ連絡だ。

この程度の電波は、
赤城でも傍受出来ているでしょう。

そうか・・・

大和から
赤城に電信を出すと・・・

米軍に大和の位置を、
知られる恐れがあります・・・

味方同士の電信でも、敵に傍受されると位置を特定される可能性があります。

そのため、大和以下の艦隊は徹底した無線封鎖をおこなっていました。

赤城への電信は
不要かと・・・

まあ、
そうか。

大丈夫ですよ!
山本長官!

まあな・・・

異様に楽観的な山本長官たちでした。

草鹿君とは赤城への無線転送を
約束したんだが・・・

そして、山本長官は草鹿参謀長との約束を、あっさり放棄します。

「全ての電信を赤城へ転送」という約束を。

そして、このことは痛恨の一撃となりました。

米空母出撃を確信していた山口多聞:「日本の象徴」となった大和

戦艦 大和(Wikipedida)

そもそも、最前線の機動部隊のはるか後方500kmの位置にいた戦艦大和。

日本の国名の別称である「大和」を背負っていた「ただ一隻の特別な艦艇」であった戦艦大和。

そのため、大和は「日本海軍の象徴」を超えて「日本の象徴」となっていたのです。

なんとしても、
大和は守らねば

大和に
万一のことあらば・・・

それは海軍だけでなく、
日本の終わり・・・

という考えが、日本海軍にありました。

新教育紀行
戦艦大和(Wikipedia)

米国より劣る科学技術とはいえ、当時の日本の最新鋭設備と有力な敵信傍受班をもっていた大和。

次々に米軍の通信傍受に成功します。

ミッドウェー周辺の敵信が
多すぎるな・・・

この電信は、
米空母では?

空母よりはるかに高い防御力を持ち、おそらく当時世界最強の防御力を有していた戦艦大和。

「攻撃されること」を極端に恐れるあまり、戦艦大和は後方で静かに過ごし続けます。

第一航空艦隊 旗艦 空母赤城(Wikipedia)

米空母は、
必ず出てくる!

この間、最前線の空母機動部隊は、ミッドウェー島向けて、着実に進行していました。

ミッドウェー作戦の日本空母(歴史街道 2022年8月号 PHP研究所)

真珠湾の時の空母六隻より少ないとはいえ、空母四隻の大部隊。

当時、「空母四隻」を集中して戦いに向かうことは、日本しかできなかったのです。

米国ですら、「空母三隻の集中運用」にとどまります。

そして、英国・ドイツ・フランスなどは「空母三隻以上の大部隊」など「考えられなかった」のです。

当時の同盟国であるドイツに至っては、空母は保有していなかったのです。

それほど「圧倒的力を有していた」日本の連合艦隊。

我が連合艦隊の
力は、世界で見ても圧倒的だ・・・

だが、それに驕っては
いけない・・・

特に、わずかな時間で
勝負が決まる航空戦・・・

慎重に、
万全期すのが本来の姿だ・・・

米空母出撃を確信していた山口司令官でした。

新教育紀行

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