記述問題の攻略法・ポイント・コツ 2〜絵や写真を観察・大体の方向性を考える〜|中学受験・社会

前回は「記述問題の攻略法・ポイント・コツ 1〜歴史的背景を自由に考える〜」の話でした。

目次

絵・写真などの資料を観察する

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麻布中学校の2020年社会の問題です。

下記、問5を考えてみましょう。

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歴史の問題で風刺画はよく取り上げられます。

明治維新政府の外務卿をつとめた井上馨。

外務卿 井上馨(Wikipedia)

英国・米国などと結んでいる不平等条約改正のために、日本が諸外国と伍するように考えました。

そのために単純な発想として、

西洋と
伍するためには・・・

西洋と
同じになれば良い!

という急速な欧化政策をとりました。

そして、鹿鳴館を建築し、連日のように外国人を招き、舞踏会を開いたのでした。

鹿鳴館(Wikipedia)

この風刺画はフランス人画家ビゴーが描いた絵です。

洋服を着飾った男性・女性が描かれていますが、「風刺」である以上、なにか皮肉っているのです。

問題文の「風刺したものです」という言葉には注意しましょう。

こういう絵を見るときは、じっと観察してみましょう。

じっと、
見れば良いの・・・

社会の問題ですが、理科の問題を解いている気持ちになってみるのも良いかもしれません。

理科の実験みたいな
感じ?

じっと観察してみましょう。

よく観察すると、左の絵の鏡に猿が描かれています。

男性と女性が鏡を見て、写っているのが猿です。

鏡は「本来の姿を映し出す」という考え方もあります。

つまり、「猿真似だ」と言いたいのですね。

これが最も大事なポイントです。

大体の方向性を大事に

風刺の内容

・外面ばかり西洋化しても、内面は猿のような人物であること

・外面と内面が乖離していること

ここからは、いくつかの解答例が思い浮かびます。

これらをもとに、自分なりに書いてみましょう。

ポイントが合っていれば、自分なりの文章で良いので、あまり模範解答例に合わせなくても良いです。

記述式問題の参考書や過去問の模範解答は「あくまで一例」です。

大体の方向性が合っていれば、採点者は理解して○になるでしょう。

麻布は解答欄に罫線がひかれているので、「簡潔に書くこと」が求められています。

ですから、上記の「鏡に映った猿」は、書かなくても良いでしょう。

武蔵中学校を受験する方は、このような「観察した結果わかること」は必ず書きましょう。

後半の「内面と外面が乖離」が書いてなくても、「鏡に映った猿」が書いてあるだけでも、

よく
観察しているね・・・

と、点が入ります。

逆に、「内面と外面が乖離」という最も大事なポイントが書いてあっても、「鏡に映った猿」が書かれていないと、

大事な
ポイントに気づいて欲しい・・・

と、武蔵中学校の場合は減点となる可能性があります。

志望校によりますが、ポイントを自分なりに整理したら、自分なりの考えをはっきり書きましょう。

仮に、上記のようなポイントに気づかなかったとします。

試験当日、限られた時間内で

わからない・・・

ときは、記述式であれば、自分なりにまとめることが大事です。

上記の例が、模範解答となります。

他には、「自国の文化・衣類(和服)をいとも簡単に捨て去る軽薄なこと」という視点もよいでしょう。

この解答に対して、どのような点をつけるかは学校によります。

学校の方向性を把握しながら、自分なりに・堂々と記述は書いてみましょう。

鹿鳴館の実態と井上馨

余談ですが、鹿鳴館を推進した外務卿 井上馨は「汚職まみれ」で有名でした。

当時、三井財閥と手を結んで、政府のお金を横流ししてやりたい放題やりました。

現代なら「一発でアウト」なのですが、長州閥の力で乗り切りました。

なんとか、
乗り切ったぜ!

西郷隆盛(Wikipedia)

やあ、
「三井の番頭」さん・・・

なに?

井上さんは、
三井財閥の便宜ばかり図っていますね。

あれ?
あなた政府の人間ではなかったっけ。

おのれ・・・・・
この野郎!

いくら西郷さんと言えども、
この侮辱は許せん!

西郷隆盛から公衆の面前で嫌味を言われた人間、それが井上馨です。

井上が推進した鹿鳴館の当時の評判が、イメージできるでしょう。

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