前回は「中学・高校での成長 4〜先輩からの刺激〜」の話でした。

大作家 司馬遼太郎を知らなかった僕。
時代は1990年で、パソコンゲームが大流行し始めた頃でした。

当時はPCゲーム(後にファミコンなどへ移植)「三国志 2」が、大ブームでした。
この画面をみると、解像度の荒さに今の子どもたちは「いつのゲーム?」と思うかも知れません。
僕たちの世代で、光栄(現 コーエーテクモ)の三国志シリーズをプレイしたことある方にとっては、「懐かしい画像」です。
この影響もあり、歴史好きの僕は中学校一年生の当時、吉川英治の「三国志」にどっぷりハマっていました。

文庫本で全八巻の吉川英治「三国志」は、非常に面白く、当時の中高生のバイブルのような存在でした。
君は司馬遼太郎は、
読んでないのかな?
一つ上の中学2年生のU先輩が続けて、僕に問いかけます。
司馬遼太郎を知らなかった僕は、素直に
「しばりょうたろう」は
読んでいません。
と答えます。
すると、さっきまで
君は、
よく知っているね。
と褒めてくれていたU先輩。
途端に険しい顔になり、言いました。
あのねえ、
君ねえ・・・
歴史が好きなら、
司馬遼太郎くらい読んでなきゃ、ダメだよ!
はぃ・・・・・
いきなりダメ出しをされて、かなりショックを受けた僕。
司馬遼太郎を
読もう!
と意気込みます。
そして、同級生で司馬遼太郎を読んでいる友達に聞いてみます。
司馬遼太郎は、
何がおすすめかな?
そうだなぁ・・・
君は信長が好きだから、
「国盗り物語」がいいんじゃないか。
その日、学校の帰り道に書店に寄って、国盗り物語の一巻を購入した僕。

そして、司馬遼太郎の作り出す「司馬ワールド」に、その後すっかり没入することになります。
吉川英治、池波正太郎、海音寺潮五郎、津本陽、早乙女貢など、数多くの作家の歴史小説を読みました。
その中でも、司馬遼太郎の描く世界は、僕にとって非常に生き生きとした「リアルな世界」でした。

第一巻を読んでいると、松波庄九郎(斎藤道三)が、あたかも目の前にいるかのような錯覚を感じるほどでした。
その後、中高を通して、司馬遼太郎の作品を中心に歴史小説ばかり読んだ僕。
他にも数学・理科の本、あるいは学校の課題・宿題の本を読みましたが、最も印象的なのは司馬遼太郎です。
このきっかけを与えてくれた、U先輩。
最初にダメ出しされた時は、とっても意気消沈しましたが、良い経験になりました。
このように、部活などで「お兄さん・お姉さん」と話すことは、非常に大きな糧になります。
時には、意見の食い違いや仲違いもあります。
それもまた、後になっては良い思い出です。
中高では学問と同時に、人間力を高める人生最大の機会です。
ぜひ、部活には入ってみましょう。