ポツダム宣言に込めた連合軍の意図〜トルーマン大統領主導の文面・「統率の外道」神風特別攻撃隊の真相・大西一航艦長官の権限と虚像〜|ポツダム宣言3・第二次世界大戦と戦後

前回は「ポツダム宣言全文を読んで感じること〜原爆とオリンピック作戦と本土決戦・サイパン陥落から神風特別攻撃隊の出撃へ・B29による日本全国爆撃〜」の話でした。

目次

「統率の外道」神風特別攻撃隊の真相:大西一航艦長官の権限と虚像

新教育紀行
大西長官と神風特別攻撃隊・敷島隊の訣別の水盃(中央で隊員を見て背を向けているのが大西長官):1944年10月20日(Wikipedia)

1944年9月から10月頃にかけて、大日本帝国海軍は「最後の戦い」を挑みました。

フィリピン・レイテ沖を中心とした戦いであり、「レイテ沖海戦」と呼ばれます。

この頃は、すでに日米の戦力差に「どうにもならない差」がついていました。

何を、どう頑張っても、米軍に勝つことは不可能であることが明白であった当時。

後世の視点から見れば、「敗北必死」の大日本帝国でしたが、まだまだ多大な戦力が残っていました。

当時の状況は、そもそも、米国・米軍が「圧倒的に強すぎた」のが理由でした。

当時の帝国陸海軍は大幅に弱体化していましたが、「米国以外の軍隊相手なら十分戦える」状況でした。

新教育紀行
大西瀧治郎 第一航空艦隊司令長官(Wikipedia)
大西瀧治郎

もはや・・・
もはや普通の戦い方では、米軍には勝てん・・・

大西瀧治郎

絶対に勝つのだ・・・
必ず・・・どうやっても・・・

大西瀧治郎

それが「統率の外道」
であっても・・・

「神風特別攻撃隊の創始者」と呼ばれる大西瀧治郎 第一航空艦隊司令長官。

まるで、「大西独断」のように語られますが、それは虚像です。

これほど重大な命令を、「一長官」である大西が下せるはずはなく、その権限もありませんでした。

当時の軍令部総長・連合艦隊司令長官もまた、内諾を与え、「神風特攻作戦を許可」していたのが現実でした。

大西瀧治郎

特攻隊の諸子に対する
責任を取る・・・

終戦時は、軍令部次長であり大本営の中心人物の一人であった大西瀧治郎。

大西瀧治郎は、終戦の翌日に割腹自決しました。

そして、戦後になり、特攻隊を含む様々な事を米軍が調査し、各種メディアも追求しました。

ところが、戦後になって、存命していた当時の帝国海軍大幹部たちは、

元帝国海軍大幹部N

私は当時、軍令部の中枢に
いましたが・・・

元帝国海軍大幹部N

特攻隊に関しては、
命令を下してなく、裁可もしていません・・・

このように「知らない」を突き通す人が大勢いたのでした。

「絶対に知っていたはず」の人物たちもまた、

元帝国海軍大幹部G

特攻隊の命令・・・
私は知りません・・・

「特攻隊の命令文書を起案(作成)した」証拠がある人物もまた、「知らない」を通しました。

これはやむを得ない面もあり、それだけ「神風特別攻撃隊」に対しては、評価が極めて難しいです。

特に、平和な時代となり当時の雰囲気を知らない人物たちの視点から、は。

ポツダム宣言に込めた連合軍の意図:トルーマン大統領主導の文面

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トルーマン米大統領(Wikipedia)

1945年当時、連合軍のボスは米軍であり、事実上の「連合軍総司令長官」だったトルーマン米大統領。

圧倒的人気を誇り、前人未到の「四選(米大統領に四回選ばれた)」ルーズベルト大統領が病死した後、

トルーマン

副大統領だった
私が大統領となりましょう・・

副大統領であったトルーマンが大統領となり、連合国を率いていました。

問:ポツダム宣言に対する印象

ポツダム宣言を読んで感じることは何ですか?

あなたの意見、感じたことを述べて下さい。

今回は、読み取れること・感じる事を考えて、簡潔に書いてみましょう。

ポツダム宣言(Wikisourceによる現代語訳)

宣言

合衆国、中国および連合王国の政府首脳による宣言

一 我々、合衆国大統領と中華民国国民政府主席およびグレートブリテン首相は、我々の数億の国民を代表して協議を行い、日本にこの戦争を終結する機会を与えることで意見が一致した。

二 合衆国と大英帝国および中国の巨大な陸海空軍は、西方から自国の陸空軍による数倍の増強を受け、日本に対して最後の一撃を与える態勢を整えた。この軍事力は、日本が抵抗を停止するまで、対日戦争を遂行する全ての連合国の決意により支持され、また鼓舞されるものである。

三 覚醒した世界の自由な人々の力に対するドイツによる無益かつ無意味な抵抗の結果は、日本国民に対する極めて明白な先例である。現在、日本に対し集結しつつある力は、ナチスの抵抗に対し適用され、必然的に全ドイツ国民の土地、産業および生活様式に荒廃をもたらしたそれとは比較できないほど強大である。我々の軍事力は我々の決意のもとで最大限に行使され、それは日本国軍隊の不可避かつ完全な壊滅と、同じく不可避的な日本国本土の完全な荒廃を意味することになる。

四 愚かな打算により日本帝国を消滅の寸前まで陥れた身勝手で軍国主義的な助言者らに支配され続けるのか、それとも理性による道を歩むのかを、日本が決定すべき時が来たのである。

五 我々の条件は次のとおりである。我々は、これらの条件を逸脱することはない。これらに代わる条件は存在しない。我々は、遅延を許容しない。

六 日本国民を騙して道を誤らせ、世界征服に乗り出させた者たちの権力および勢力は、永久に除去されなければならない。無責任な軍国主義が世界より駆逐されるのでなければ、平和と安全および正義の新秩序が生じ得ないことを、我々は主張するからである。

七 そのような新秩序が建設され、かつ日本の戦争遂行能力が破壊されたことについて確証を持つことができるまでは、連合国が指定する日本国領域内の諸地点は、占領されなければならない。我々がここで述べる基本的な目的の達成を確実とするためである。

八 カイロ宣言の条項は履行されなければならず、また、日本の主権は本州、北海道、九州および四国、ならびに我々の決定する諸小島に限定されなければならない。

九 日本国軍隊は、武装を完全に解除された後、各自の家庭に復帰して平和的かつ生産的な生活を営む機会を与えられなければならない。

十 我々は日本人を民族として奴隷化したり、国民として滅亡させる意図を有さないが、我々の捕虜に対して虐待を行った者を含む一切の戦争犯罪人には、厳格な処罰が下されなければならない。日本政府は、日本国民の間における民主主義指向の再生および強化に対する一切の障害を除去しなければならない。言論、宗教および思想の自由、ならびに基本的人権の尊重は確立されなければならない。

十一 日本は、自国の経済を支え、正当な現物賠償の強制取立てを可能とするような産業の維持を許される。ただし、戦争のための再軍備を行うことを可能とするような産業の維持は許されない。この目的のため、原材料の統制とは異なる形で、原材料の入手を許されるものとする。日本は、将来的には世界貿易関係への参加を許されるものとする。

十二 これらの目的が達成され、日本国民の自由意思に基づき、平和指向かつ責任ある政府が樹立された場合は、連合国の占領軍は、直ちに日本から撤収するものとする。

十三 我々は、日本政府に対して、直ちに全日本軍隊の無条件降伏を宣言することを要求し、その行動における同政府の誠意について、適切かつ充分な保証を提供するよう要求する。日本にとって他の選択肢は、迅速かつ完全な破壊のみである。

ポツダムにて、1945年7月26日

ハリー・トルーマン   

ウィンストン・チャーチル

中華民国政府主席    

今回は、上のアンダーラインを引いた部分(黄色)に注目します。

塾講師

連合軍は、
日本に無条件降伏を勧告し・・・

塾講師

日本は
無条件降伏した・・・

このように表現されることが多い「大日本帝国の連合国への降伏」ですが、実情は違います。

無条件降伏の対象は、「全日本軍隊」であり、「日本国」でも「日本政府」でもありません。(青色部分

最後の最後に、この「全日本軍隊の無条件降伏」を極めて強く要求した連合国。

その前段「黄色部分」は、まるで、全日本軍・軍部に対する挑戦状でした。

問:ポツダム宣言に対する印象(模範解答の一例)

A.日本国に対する降伏勧告というよりも、日本軍・軍部に対する挑戦状の色彩が極めて強いこと。

B.全日本軍・軍部に対して、「完全な壊滅」と恫喝しており、全日本軍を圧迫する脅迫状のような文面であること。

C.日本の軍国主義に対する怒りを露わにし、「最後の一撃を与える」と極めて高圧的な姿勢であり、全日本軍を強く敵視し、排除する意思が濃厚であること。

上の例は、「全日本軍に対する姿勢」に注目した解答例です。

他の面に注目しても良く、上の例以外にも様々な解答例が考えられます。

トルーマン

全日本軍よ!
早く無条件降伏しろ!

トルーマン

お前たち軍部は
日本を壊滅させるまで戦うのか?!

トルーマン

愚かで無責任なお前たち(軍部)は
日本が消滅しても良い、と言うのか?!

このようなトルーマンの声が聞こえてきそうな、極めて「挑発的」「高圧的」宣言文と感じられます。

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