前回は「BTB液と色の変化〜同じ「危険な酸性と優しいアルカリ性」・リトマス紙のBTB液の共通点「青は同じ」・黄信号は「止まれ!」〜」の話でした。
いつも「優しいアルカリ性」:優しい女性のイメージ
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前回までに、酸性とアルカリ性に対するイメージと、リトマス紙とBTBの変化をまとめました。
・酸性=危険なイメージ、アルカリ性=優しいイメージ
酸性は「酸」であり、強い酸は何かを溶かす性質があるので、危険(赤)です。
対して、アルカリ性は、概ね優しいイメージ(青)です。
今回は、中学受験で「色変化三冠王」の最後のフェノールフタレイン液をまとめます。
今回も、罫線がないノートで自由に書いてみましょう。
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今回も、酸性とアルカリ性に対するイメージは同じで、「危険な酸性と優しいアルカリ性」です。
そして、アルカリ性は「優しい」ので、女性のイメージが良いでしょう。
フェノールフタレインを考えるときは、アルカリ性は「優しい女性のピンク色」です。
上のように、アルカリ性の青のイメージに重ねて、ピンク色のアンダーラインを引きました。
スキャンの関係上、画像としては紫色に見えますが、原本のノートではピンク色です。
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そして、フェノールフタレインは「アルカリ性のみ性質を明らかにする」性質があります。
そのため、酸性と中性は「どちらでもない無色」となります。
・酸性=危険な赤、アルカリ性=優しいピンク(女性のイメージ)
・フェノールフタレイン:アルカリ性のみ反応するから、酸性と中性は無色
・酸性=危険な赤、アルカリ性=優しい青
・リトマス紙:酸性は、ずっと赤+アルカリ性は、ずっと青
・酸性=危険な黄、アルカリ性=優しい青
・BTB液:酸性は黄色、アルカリ性は青色、中性は「黄色と青色を混ぜた」緑色
リトマス紙、BTB液、フェノールフタレインのそれぞれに対して、酸性・アルカリ性・中性の色があります。
そして、「酸性は危険、アルカリ性は優しい」イメージは、全て共通です。
これらを「丸暗記する」のではなく、「酸性とアルカリ性に対するイメージ」で理解しましょう。
フェノールフタレインと色の変化:コンクリートの中性化調査
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フェノールフタレインの反応に対して、「アルカリ性は赤」という表現を時々見かけます。
筆者は「アルカリ性は赤」ではなく、「アルカリ性は紫色、またはピンク」と考えます。
この点では、「フェノールフタレインのアルカリ性反応は赤色」は、筆者は誤りと考えます。
赤と「紫色、またはピンク」は近い色とも言えますが、やはり赤と紫色・ピンクは違います。

確かに赤と紫色・ピンクは
似ているけど、違うよね・・・



でも、フェノールフタレインって
実物見たことがないから・・・
小学校の実験で、まず使われることがないフェノールフタレイン。
そのため、中学受験では「受験のために暗記」という印象があるかもしれません。
そこで、今回はフェノールフタレインを使用する実例の話をご紹介します。
筆者が、ある建物の調査をした際に、「コンクリートの中性化試験」を調査機関に依頼しました。
その際に、「中性化を調査するために、フェノールフタレインを使用した」話です。



「中性化」って
聞いたことがないけど・・・
鉄筋コンクリートは、元々はアルカリ性ですが、経年劣化などの要因で「中性化」することがあります。
「中性化」とは、文字通り「中性に変化する」ことで、鉄筋やコンクリートの大きな劣化につながります。


建物の「壊しても問題ない」部分を、一部削りとり(ハツリ)取りました。



鉄筋コンクリートって
こういう色をしているんだね・・・
グレー色の部分がコンクリートで、丸い細い棒が鉄筋です。
これらの鉄筋コンクリートの部分に、フェノールフタレインをかけて、調査を進めました。





一気に全体的に
紫色になったね!
その結果、上の写真の通り、フェノールフタレインを塗布した鉄筋コンクリートは紫一色となりました。
そのため、このコンクリートは「アルカリ性である」ことがハッキリと判明しました。
そして、「中性化が進行していない」のでOKとなりました。



フェノールフタレインの
アルカリ性の色って、こんな感じなんだね!



これは赤でもピンクでもなくて、
紫色だね。
フェノールフタレインのアルカリ性の色は「紫またはピンク」です。
ぜひ、上の写真の色を頭に入れて、「フェノールフタレインのイメージ」を固めて下さい。
次回は「水溶液のにおい」のまとめです。
次回は上記リンクです。