「次元を認識」して旅人算を解くコツ〜距離や時間は「略字+〜」・「極端な場合」を考える発想・鶴亀算的考え方〜|桜蔭中2025年算数2・過去問・中学受験

前回は「様々な速さ・場所・距離・時間が登場する旅人算を解くコツ〜「一枚の図」にまとめて状況理解・全体像を把握して考える〜」の話でした。

目次

「次元を認識」して旅人算を解くコツ:距離や時間は「略字+〜」

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桜蔭中で今年2025年に出題された、速さ・旅人算の問題の(2)に進みます。

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(1)では、問題の状況を「一枚の図」にまとめて整理しました。

速さ・旅人算の問題を解くコツ

1.様々な速さ・場所・距離・時間を「一枚の図」にまとめて状況理解:速さの違いも表現

2.「即戻った」か「再出発まで〜分」なども全て書く

旅人算の問題では、多くの場合で「途中で戻る」の後に、走ったり、自転車に乗ります。

そして、速さ・スピードが変わる点がポイントなので、「速さの違い」も図で表現すると良いでしょう。

上の図では、「走る」方の矢印を「二本の矢印」で表現しています。

女子小学生

線が二本、矢印が太いと
速い感じが分かるね!

このような「一枚の図」の整理の仕方は、それぞれの人次第で、「自分が良いように書く」と良いです。

男子小学生

「再出発まで1分」も
書くと分かり易いね!

戻ると、多くの場合で「忘れ物を探した」などで、時間がズレます。

算数の問題を解くコツ

1.まずは「一枚の図」にまとめて、全体像を理解しながら考える

2.「分かったこと」を追記してゆき、「一枚の図」を強化する

これらの、全ての状況を書き込み、分かったことを追記してゆくことがポイントです。

出題者

桜さんは
何分間走りましたか?

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桜さんが走った時間を求めますが、まずは、桜さんが公園から戻って再出発の時間を求めます。

男子小学生

桜さんは、また歩いて、
途中から走ったんだよね・・・

女子小学生

走ると150m/sだから、
歩く時の倍以上のスピードだね・・・

男子小学生

どうやって、
考えたら良いんだろう・・・

ここで、手が止まってしまう時は、「一枚の図」に戻りましょう。

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記述の答案で「公園」など書くのは、時間がかかるので、省略して「こ」とか「こ+丸」で表現します。

女子小学生

記述では、こういう略字は
説明した方が良いの?

説明した方が「より良い」ですが、時間も解答欄も限られているので不要です。

「公園」を「こ」や「こ+丸」で表現すれば、

出題者

ああ、これは
略して書いているんだな・・・

採点者は即分かるので、記述では「画数の多い漢字は略す」のが大事です。

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距離や時間を求める時は、上の答案のように「こ+丸〜え+丸」で表記しても良いでしょう。

女子小学生

この書き方だと、
距離か時間か分からないんじゃない?

「〜」には、距離と時間の二つが考えられるので、計算した結果に「分」や「m」を書くと良いです。

「分」や「m」を書くことによって、「自分が何を考えているのか」が明確になるメリットもあります。

算数の問題を解くコツ

1.記述では、距離や時間は「略字+〜」などで簡易表現

2.「分」や「m」を書いて「次元を認識」して「自分が何を考えているか」を明確に

「極端な場合」を考える発想:鶴亀算的考え方

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ここで、この問題のポイントを考えましょう。

出題者

「10分前到着」の予定が
「3分前到着」になりました。

「10分前→3分前」から、「7分遅延した」ことが大事なポイントです。

様々な計算をして、距離や時間などを計算して解くことが多い算数。

この「10-3=7」は「簡単な計算」ですが、意外と「簡単な計算で分かる事実」が鍵になることが多いです。

男子小学生

確かに、
7分遅れたのは、大事だね!

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上のように、桜さんが「スーパーから映画館までかかった時間」が分かります。

女子小学生

この時間で、
1100mを移動したんだね・・・

女子小学生

歩いた時間と
走った時間は、どう考えれば良いんだろう・・・

ここで、ちょっと考えてみましょう。

「走る」と「歩く」それぞれの「速さ」が分かっていて、「合計の時間と移動距離」が分かっています。

男子小学生

それぞれの「速さ」と
「合計の移動距離」・・・

女子小学生

歩くのと走るのでは、
全然スピードが違うけど・・・

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このように「二つのモノ(「歩く」と「走る」)」と「合計(移動距離)」は、仮定して考えてみましょう。

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上のように、「全て歩いた場合」の距離が計算できました。

男子小学生

そっか、例えば
「全部歩き」だったら足りないはずだね・・・

女子小学生

走った時間があるはずで、
歩いた時間が走った時間に変わると・・・

女子小学生

あっ、1分あたり
「歩いた→走った」で移動距離が変わるね!

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「全部歩いた」と仮定したので、「歩いた→走った」の変更で、1分あたり85m増えます。

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そして、「走った時間」が計算できました。

男子小学生

これって、鶴亀算と
同じ考え方だね!

「歩いた」と「走った」を「鶴と亀」と同じように考えると、鶴亀算と同じです。

女子小学生

こういう風に、「二つのことの合計」は、
鶴亀算って、覚えれば良いね!

「二つのモノ・状況の組み合わせ」は「鶴亀算的に考えられる」と覚えても良いでしょう。

ここで、大事なことは「極端な状況を考える」ことです。

二つのモノ・状況の組み合わせ:鶴亀算的発想

1.「一方が全て」という極端な状況を考える

2.「極端な組み合わせ」は設定と異なり、「合わせる」ためには、どう調整するか?を考える

男子小学生

こういう問題は、
鶴亀算と一緒と覚える!

このように「解法を覚える」学びは、「試験対策」としては、ある程度有効ですが、

男子小学生

こういう場合は、
どうなるんだろう・・・

「丸暗記・パターン」的学びでは、問題の設定によっては、対応できない・解けない場合があります。

「極端な場合」を考えることは、本質的な考え方です。

ぜひ、「こういう場合は鶴亀算」ではなく、考え方をしっかり理解しましょう。

上の答案は説明を意識しているので、記述答案は、もっと簡潔で良いでしょう。

ただし、「数式の羅列」にはならないで、少し「言葉で何を考えているか説明」するようにしましょう。

問題19の答え

(1) 19 11/13 分

(2) 5 15/17(100/17)分間

(3) 2  115/442(999/442)分以内

次回は、最後の(3)へ進みます。

次回は上記リンクです。

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