前回は「「次元を認識」して旅人算を解くコツ〜距離や時間は「略字+〜」・「極端な場合」を考える発想・鶴亀算的考え方〜」の話でした。
状況を上手く考えて旅人算を解くコツ:「最大・最小」など算数的発想
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桜蔭中で今年2025年に出題された、速さ・旅人算の問題の(3)に進みます。
(1)(2)を考えるにあたり、上の図のように「一枚の図」に全ての状況を表現しました。
1.まずは「一枚の図」にまとめて、全体像を理解しながら考える
2.「分かったこと」を追記してゆき、「一枚の図」を強化する
「図」と言うと図形問題のように感じるかも知れませんが、文章題においても「図を書く」は大事です。

確かに、塾で教わるときも、
先生が、こういう図を書く時があるね・・・



でも、自分では、
なかなか書くのが難しいし・・・



テストでは焦ってしまうから、
すぐに計算して、解こうとすることが多いね・・・
この様な図を描くのは、中学生・高校生は比較的出来ますが、小学生には難しい面があるかも知れません。
大事なことは、「図を描く」ことに「苦手意識を持たない」ことです。



直線とか、綺麗に
描くのが難しくて・・・
線がちょっと曲がっていたり、少し分かりにくい点があっても、「自分が分かれば良い」と考えましょう。
記述試験で、仮に上のような図の線が曲がっていたりしても、採点者は、



図を描いて、
しっかり理解している点は良い!
答案を、好意的に見てくれるでしょう。
「走り書き」でも良いので、このような「図を描く」を「手を動かしてやってみる」ようにしましょう。
(3)に進みます。
(2)までは、「桜さんの行動」がテーマでしたが、「お母さんの行動」が加わります。



お母さんは、スーパーで
買い物してから、桜さんを追いかけます。



桜さんが走り始めるまでに、
追いつくには、買い物は何分以内ですか?
桜さんが「走る」よりも早いスピードで、お母さんは自転車で「歩く」桜さんを追いかけます。



買い物を何分以内で済ませれば
良いか、ってどういうことかな・・・
「〜以内で」という表現は、少し考えにくい場合があります。
こういう「分かりにくい状況」は、「分かり易い状況」で考えるようにしましょう。



例えば、「5分以内で済ませれば良い」って
時は、「5分までは買い物しても良い」だね・・・



ということは、
「最大で何分買い物出来るか」だね!
1.「分かりにくい状況」は、「分かり易い状況」へ
2.具体的な状況を考えて、「最大・最小」など算数的発想へ
それでは、「桜さんが走り始める」までに追いつく「最大の買い物の時間」を考えましょう。
上手く約分することを考える計算:「AxB」など掛け算は「そのまま」
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この計算では、分母で「13と17」という二つの素数が登場します。



13×17くらい、
すぐ計算出来るよ!
ここでは、あえて分母の「13×17を計算せず、そのまま」として考えましょう。



なぜ、計算しないで、
掛け算のままなの?
13や17などの比較的大きな素数は、後で約分などする時に「気づきにくい」傾向があります。
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そのため、こういう「大きな素数の掛け算」等は、そのままにするのも一つの手です。
そして、桜さんが歩いて「走り始める瞬間」までに、お母さんが追いつくイメージを描きましょう。



お母さんの自転車は
早いね!
1.移動する状況・速さを矢印で表現
2.「速さの違い」を矢印の本数や太さで表現
旅人算・速さの問題では、「移動する」状況や「速さの違い」を異なる矢印で表現すると良いです。
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桜さんが歩いて移動する距離を、お母さんが自転車で追いかけて、追いつく時間を求めましょう。
少し複雑な数字が登場する計算ですが、「割り算は掛け算」にして、一気に計算します。
ここで、「13×17」を「そのまま」にしていたので、「65と13が約分出来る」ことに容易に気づきます。



確かに「そのまま」の
方が気付き易いね!
少し複雑な計算でしたが、計算結果は比較的簡単になりました。



13×17=221と書いていたら、
約数に気づかないことがあるかもね・・・
3,5,7などの約数は気付き易いですが、13,17くらいになると「気付きにくい」傾向があります。
1.計算を進めすぎず、「AxB」など、「そのまま」にしておく
2.後で「AやBで約分出来る」ことが気づき易いように計算
そして、いよいよ「お母さんの買い物の最大時間」を求めます。
「桜さんが走り始める瞬間」までに「お母さんが追いつく」のが、最大の買い物時間です。
分母が「13×17」と「34=2×17」なので、少し複雑ですが、通分はし易いです。
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ここでも、「後で約分出来るかも」と考えながら、分母は「掛け算のまま」で計算を進めます。



分子は999だから、
9の倍数だね!



上手く分母と
約分出来るかもね!
ここで「999=3x3x3x37」なので、上手く分母と「約分出来ない」ことが分かります。



約分できない、なら
計算するしかないね・・・
「約分できない」大きな素数があるので、分母も分子も大きくなりそうですが、計算しましょう。
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「分母が442」という、少し複雑な答えになりましたが、これで解けました。
この問題では、最終的に「掛け算をそのまま」でも「約分出来なかった」ので、あまり変わりません。
仮に、これらの計算の終盤で「13,17,37などの大きな素数」で約せる場合は、楽になります。



掛け算は「そのまま」で
最後に計算するのも良いね!



僕も、今度
そうやってみよう!
(1) 19 11/13 分
(2) 5 15/17(100/17)分間
(3) 2 115/442(999/442)分以内
この問題は、中級〜やや難レベルの問題で、旅人算の典型例として良い問題です。
答えが少し複雑ですが、きちんと計算する力も大事です。
単なる計算問題ではなく、本問のように「少し複雑な計算」も「頑張ってやり通す」力もつけましょう。