地球の自転と公転の問題が解ける考え方・解法〜地球の自転と公転の向き・地球の地軸の傾き・地球の地軸が傾いていない時・地球の上にいるイメージを描く〜|地球の自転と公転1・中学受験・理科

前回は「天体の問題が解ける考え方・解法〜描きながら考える姿勢・手や思考が止まらないようにする・アバウトに計算する姿勢・スケールが巨大な天体〜」の話でした。

目次

問題5:地球の自転と公転

新教育紀行
地球の自転と公転(新教育紀行)
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地球の自転と公転(新教育紀行)
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地球の自転と公転(新教育紀行)
理科5 問題文(上記と同一)

地球は太陽の周りを1年で1周し、この運動を地球の公転と呼びます。

地球は公転面に対して少し傾いていて、地球の中心を通る自転軸を地軸と呼び、公転面に垂直な方向から23.4度傾いています。

以下の問いに答えなさい。途中経過の式なども書きなさい。

(1)地球の公転の向きは、図のア、イのどちらか、記号で答えて下さい。

(2)地球の地軸が公転面に垂直な方向から傾いていない時、どのようなことが起こるか、答えて下さい。

(3)実際に地球の地軸が公転面に対して傾いている事が、私たちの日常生活にどのように影響してますか。あなたの意見も含めて、答えて下さい。

(4)地球の位置が太陽に対して、A,B,C,Dの位置にある時、それぞれ下記のどの時期に当たるか。記号で答えて下さい。
 選択肢:春分、夏至、秋分、冬至

(5)A,B,C,Dの中で、地球の全ての地点で昼の時間と夜の時間の長さが同じになるのは、どの点ですか。
 理由も簡潔に答えて下さい。

地球の自転と公転の向き:同じ性質をまとめてイメージ

地球(Wikipedia)

真っ暗な宇宙空間で、生き生きとした生命力を放つ地球。

今回は宇宙における地球の自転と公転の問題を考えてみましょう。

上の問題5は、比較的基本的な事柄を扱っています。

これは、
大体できるよ!

夏至と冬至の
図も覚えているから、わかりそう!

という方もいらっしゃるでしょう。

あるいは、

あれっ、これは
前に問題やったけど・・・

地軸が傾いていない時、
って言われても困る・・・

という方もいらっしゃるかもしれません。

何れにしても、てこや電気と比較すると「暗記分野」になりそうな天体の問題。

実際に覚えなければならない知識は多いですが、理解していることが大事です。

理解しないで丸暗記していると、ちょっとした変化球の問題に対応できない可能性があります。

「事実」はある程度暗記する必要がありますが、「なぜ?」を考えながら解いてみましょう。

最初は、太陽に対する地球の公転の向きですが、答えは(ア)です。

地球の公転の向き

・答え・・・ア(反時計回り)

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これは、覚えている必要があります。

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地球の自転と公転の向きは、同じ「反時計回り」です。

このように「同じ性質」を見つけた時は、まとめて覚えておくと良いでしょう。

実際、自転と公転の向きは「同じ」である方がしっくりくる感じがします。

もし、「自転と公転の向きが軸に対して逆」だと、上の図でイメージすると不自然な気がします。

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ここで、少し話が横道にそれて「右ネジの法則」の話をします。

「右ネジの法則」って
初めて聞いたけど・・・

という方もいるかもしれませんが、サラッと聞いてください。

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右ネジに対して、上のような向きに電流が流れると磁場(磁力)が発生します。

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磁場(磁力)が流れる向きは、「右ネジを電流の向きに回す回転方向」なので「右ネジの法則」です。

そっかあ、
そういうことなんだ・・・

あれ?そういえば、
コイルにモーターを巻く問題といたけど・・・

このことと同じで、
電熱線に電流が流れて・・・

モーターに磁力が
発生するのかな?

モーターの原理も、この「右ネジの法則」によります。

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右ネジの軸を、地球の地軸と太陽に対する公転面に垂直な軸と考えましょう。

すると、自転・公転の向きも「右ネジの法則」と同様になります。

この考え方が、物理的にどこまで正しいかは考え方によるかもしれませんが、共通点があります。

このような共通点を自分なりにイメージして、覚えてゆくと横断的に理解が進むでしょう。

地球の自転と公転の向き

・同じ反時計回り

・「右ネジの法則」と同じように覚える

地球の地軸の傾き:どのくらい傾いているか

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ここで、地球の公転面・あるいは公転面に垂直な軸に対する地軸の傾きを考えてみましょう。

これは、垂直な方向から見て
23.4°だよね!

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多くの方が暗記していると思われる、「公転面に垂直な軸に対して23.4°の傾き」。

この数字は丸暗記して良いですが、少し角度を考えてみましょう。

これは、ただ暗記していて、
考えたことないけど・・・

これは「事実」だから、
考えても意味ないんじゃないかな・・・

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23.4°は直角である90°の約1/4です。

地球の地軸が傾きすぎていると、ちょっとおかしなことが起きそうです。

その意味では、「90°の1/4(22.5)に近い」良い塩梅で傾いているイメージを持つと良いでしょう。

地球の地軸が傾いていない時:地球の上にいるイメージを描く

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続いて(2)に進んで、「地軸が公転面に垂直な向きに対して傾いていない」イメージを図で描きましょう。

地軸が傾いていなかったら、は
考えもしなかったな・・・

「傾いていない」ということを考えてみましょう。

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これは分かるけど、
「傾いていない時」か・・・

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地球の地軸が、公転面に対して垂直なイメージを実際に絵に描いてみましょう。

このように「予想外の問題」に出会った時には、

これは、
どういうことだろう・・・

と考えるのが良いですが、考えすぎてもなかなか答えに至らないことが多いです。

問題文と「にらめっこ」しても、なかなか出来ないので、さっと手元で描くようにしましょう。

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そして、自分自身が「地球の上にいる」という事実を、描いてみましょう。

こういう時は「自分自身を大きく描く」のがポイントです。

巨大なスケールの天体の問題を考えるときは、「あえてスケールをズラして考える」のがポイントです。

天体の問題

・地球、太陽、月、などの星の位置関係や、地球にいる状況を描く

・巨大なスケールなので、あえてスケールをズラして「自分が分かるように」描く

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そして、「地球の公転面に垂直な地軸」の地球に自分が立っている(乗っている)イメージです。

これは頭でイメージしても良いですが、実際に描くと良いでしょう。

人の形は、ざっと「頭と体」でもなんでも良いので「自分が描きやすい」のが大事です。

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このように実際に描くと「地球のどこの場所でも、太陽の見え方は変わらない」ことが分かります。

確かに地軸が垂直の時、
ある場所にいると、自転して回転するけど・・・

太陽の地球からの
相対的な見え方は変わらないね!

(2)の答え(解答例)

・同じ場所(地点)における太陽の動きは1年中同じ

・ある場所(地点)にいる時に、太陽が昇ってから沈むまでの動き(軌跡)がいつも同じ

「太陽の動き」とシンプルに書いても「太陽が昇ってから沈むまでの動き」と書いても良いでしょう。

(3)では「実際は地軸は傾いている」事実に対して考えることです。

「私たちの日常生活にどのように影響してますか。あなたの意見も含めて」答える問題です。

地軸が傾いていないと「ある場所に住んでいたら、一年中同じ太陽の動き」になります。

そのため、後で考える「春分・夏至・秋分・冬至」もなくなり、季節感がなくなります。

それって
つまらないね・・・

暑すぎると、暑くて
嫌になることもあるけど、アイスが美味しいよ!

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地球の地軸は「傾いてくれている」から、四季折々の風情が楽しめるのです。

それらのことを簡単に書くと良いでしょう。

(3)の答え(解答例)

・地軸が傾いていることで、ある場所(地点)にいる時に一年の中で太陽の動きに変化が生まれ、気温の変化などの季節が変わる。四季折々の風情を楽しめ、私たちの生活を豊かにしている。

・地軸が傾いていると、ある場所(地点)に住んでいる時、一年の間に太陽が昇ってから沈むまでの動き(軌跡)が変わり、夏至や冬至などの季節が変わる。温度や湿度が変わり、生活に多様性が生まれている。

「私たちの日常生活に対して、意見含めて」というような問題は少し難しいかもしれません。

こういう問題が出た時には、「考えすぎない」ことが大事です。

自分達の日々の生活をイメージして、「こうでなかったら」と考えて感じたことを書くのが良いでしょう。

自分の意見を書く記述問題

・その状況をイメージして、「素直に感じたこと」を書く

・「良い解答を書こう」「点数が高い解答を書こう」という気持ちより、年齢に応じた素直な意見が良い

「文章の良さ」は国語では問われるかもしれませんが、理科・社会などでは採点者は「文章の技巧」は求めてないでしょう。

文章はあまりまとまってなくても、中学受験生なら「小学生らしく」が良いでしょう。

同様に高校受験生なら「中学生らしく」、大学受験生なら「高校生らしく」が良いと考えます。

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