前回は「身近な電気の話〜送電線の電線の長さと電流・身近な電線・電柱・日本と世界の比較:送配電ロス〜」の話でした。
電気の明るさ:電圧と電流

今回は、実戦的に問題をやってみましょう。
例年、愛光中は1月上旬に入試を実施しています。
愛光中志望の方には、最後までしっかりやって、合格して欲しいと思います。
愛光はとてもユニークで優秀な方が多く、僕の友人も何人かいます。
愛光中の合格ラインは70%弱で、理科は5題の問題を40分で取り組みます。
2022年の問題は問題文の分量も多く、一題あたり平均8分でやるのは、かなり大変です。
問題文全体を見て、
これから、
やろう!
と、自分の得意な・出来そうな問題を、素早く一題しっかり獲得する力が必要です。
早速やってみましょう。
シンプルな電気の問題です。
電気のまとめにはちょうど良い問題で、「しっかり電流・電気を理解しているか」が分かります。
このように「答えだけで、最も明るい・暗い」問題などは、要注意です。
それは、少し勘違いすると「ほとんど〜全部間違える可能性がある」からです。
四つのうち、
三つは、しっかり出来ていたのに・・・
一つ間違えたら、
ほとんど間違えた・・・
という可能性もありますので、慎重に取り組みましょう。
電圧と電流のイメージ:電圧が電流を流す

それでは、早速一つ一つ回路を考えてゆきましょう。
まずは、電気・電流の問題の考え方の基本です。
回路の問題を考える時は、上のように「電池一つ・電球一つの基本回路」を考えるのが基本です。
この時、この基本回路を「流れる電流を①」と考える考え方もありますが、大事な主役は電圧です。
電気・電流の問題が、難しく感じるのは、電流・電圧・抵抗と三つが出てくるからです。

上の記事でお話ししました通り、「主役は電圧」です。

「電池一つの電圧=①」とおいて、考えましょう。

そして、「電球一つの抵抗=1」と考えましょう。
「電球の抵抗=1」だと無次元のように感じられるので、「違う文字を置く」のが本来の考え方です。
文字を増やすと混乱するので、比較するためには「1」で良いでしょう。
この時、「流れる電流は①」となります。

大事なことは、「電圧も電流も①」ですが、単位が異なるので「本当は違う」ことです。
単位は物理・化学において、非常に大事なことです。
このことは、中学・高校から学べば良いでしょう。
この基本回路を考えるとき、電圧を考えず「電流が①」と考えると、分からなくなることがあります。
大事なことは、まずは「電池一つの電圧が①」であり、「その後に電流を考える」です。
そして、「回路の直列・並列をパターン暗記」することになり、少し変わった問題になると、
分からない・・・
になる可能性があります。
「電圧があって、電流が流れる」ことをしっかり理解しましょう。
電圧と電流を描く:流れる電流をイメージ

図1から各回路を見てゆき、一つずつ流れる電流を考えましょう。
これは、「直列電池・直列電球」の基本タイプですが、しっかり考えましょう。

電池が直列につながっていると、線が一つに真っ直ぐ繋がるので、電圧が2回上がります。
そして、電圧は2倍になります。
電池によって電圧がかかり、電流が流れるイメージをしっかり持ちましょう。
「水路のモデル」がありますが、電圧は電流をエイっと持ち上げるイメージです。
そして、電球を光らせるためには、電球にある抵抗で、電圧が下げられます。
電球が直列に並んでいると、流れる電流は、続けて抵抗を受けるので、抵抗は3となります。
電流が「続けて抵抗をドン、ドン、ドンと受けるイメージ」を持ってください。

すると、回路がわかり、流れる電流が計算できます。

続けて、図2を見てゆきましょう。

同じように、電池で「電圧がグイッと上がる」イメージを持ってください。

電流が流れ、図1と同じように考えて、二つの電球を流れるので「抵抗は2」となります。

電流が流れて、二個の電池が同じように「プラスからマイナスへ電流を流す」イメージです。

二つの電流が流れるから、合計の電流が流れます。

実は、この考え方は、間違いです。
えっ!
間違いだっけ!
電圧:電池で電流が「上がる高さ」をイメージ
合ってそうだけど・・・
どこがおかしいのかな・・・
これは、中学生以上の方でも間違えやすいタイプです。
もう一度考えてみましょう。
上のような電流だと、「何がおかしい」でしょうか。
なにがおかしい、
と言われても・・・
この回路は、
「並列と同じ」と習ったよ。
この回路が「並列と同じと習った」ことも大事かもしれませんが、理由を考えましょう。
回路は、いかようにも作れますので「しっかり基本を理解する」姿勢が大事です。

回路を流れる電流は、「上がった電圧分下がる」ことを思い出してください。
電流が流れて、二つの電球で電圧が下がる(電圧降下)ので、合計すると、

「上がった電圧の2倍の電圧が下がる」ことになり、オカシイのです。
もう一度、考え直してみましょう。

回路が上下にありますが、「閉じた回路」を考えましょう。

回路の電圧は「上がった分と同じ電圧が下がる」ので、上がる電圧は電池一つ分です。

「上がる電圧は電池一つ分」で、抵抗は直列で2だから、電流が求まります。

ですから、「並列電池と同じ」なのです。
そういうこと
なんだ・・・
このように、「回路のパターンを暗記」ではなく、「電圧が主役」でしっかり考えてみましょう。
よく分かった!
もう大丈夫!
僕が手描きで描いているように電流の流れを描いて、「どうなっているのか」を考えましょう。
入試当日には、こういうことが「頭で描ける」のが「時間が短くなる」点では望ましいです。
「頭で描いて上手くゆかず、間違える」ならば、しっかり描いて、理解しましょう。
そして、一つずつ得点するのが良いでしょう。
後半は次回ご紹介します。