前回は「旧字体「臺」は現代のどの漢字?〜現代の漢字とは「全然違う」旧字体・日本有数の大都市の名前・明治政府が設置した全国六鎮台・最初は全国四鎮台〜」の話でした。
旧字体「變」は現代のどの漢字?:旧字体を構成する様々な部位

上の「聯」の字は、現代の「連」の字の旧字体です。
旧字体「聯」に関する話を、上記リンクでご紹介しています。

そして、前回の「臺」は、「台」の旧字体でした。
いずれも、現代の感覚から見ると、「全然違う」ようにも見えるのが旧字体の漢字です。

今回は、上の漢字が現代のどの漢字に当たるか、考えてみましょう。
女子小学生これは、見たことが
ない漢字だね。



よく見ると、上の方は
「糸」が二つに、「言」が真ん中にあるね。



下の方は、難しくはないけど、
「文」に近いかな・・・
なかなか複雑な漢字です。
見方によっては「仰々しい」漢字とも言えそうです。
おそらく、戦前は、ほとんどの小学生がこの漢字を「読み書き」出来た、と考えます。
現代の視点から考えると、とても難しいように感じられる漢字です。
現代も漢字を習う際には、「こざとへん」や「うかんむり」などの部首を習います。
部首は漢字をグループ分けするので、大事な概念ですが、中学生以降はあまり気にしない傾向があります。
そして、戦前の旧字体は、部首も大事かもしれませんが、多数の部位から成り立っていました。
物々しく見える「滿洲事變」:「終わりの始まり」だった満州事変


それでは、「變」を使用する熟語を考えてみましょう。



・・・・・



これは「變化」
かな?
「變」は、「変」の旧字体です。
こうして、熟語で見てみると分かりやすい点がありますが、「變」だけでは難しいです。
とにかく、画数が多く、難しい印象のある旧字体。


現代は「満洲事変」と書きますが、戦前は上のように書きました。
「滿」は現代の「満」であり、これは比較的現代の漢字に近く、分かりやすいです。
「満洲事変」は、実態としては「日中(支)戦争」でした。
ところが、日本と中国(支那)双方が、正式に宣戦布告しなかったために「事変」と呼びました。
「満洲事変」と呼ぶと「戦争」ではなく、どこかで勃発した「事件」のような印象があります。
1931年 満洲事変 → (北支事変) → 1937年 支那事変
→ 1941年 第二次世界大戦 → 1945年 敗戦(大日本帝国の連合国への降伏)
ところが、満州事変こそが、大日本帝国が敗戦に突き進む「終わりの始まり」だったのでした。
戦前の空気が感じられる、中学入試問題に関する話を、上記リンクでご紹介しています。
「變」の字は難しくはありませんが、とても複雑で、書くのに時間がかかりそうです。
その一方で、いかにも「漢字らしい香り」が感じられるのが、「變」の旧字体です。
当用漢字字体表
答 申
昭和23年6月1日
文部大臣 森戸 辰男 殿
国語審議会会長 安倍 能成
さきに本会に御諮問になりました事項のうち,漢字の字体整理を現下の急務と認め,慎重審議の結果,別冊「当用漢字字体表」を議決いたしました。
右、答申いたします。
別冊
当用漢字字体表
まえがき
一、この表は,当用漢字表の漢字について,字体の標準を示したものである。
一、この表の字体は,漢字の読み書きを平易にし正確にすることをめやすとして選定したものである。
一、この表の字体の選定については,異体の統合,略体の採用,点画の整理などをはかるとともに,筆写の習慣,学習の難易をも考慮した。
なお,印刷字体と筆写字体とをできるだけ一致させることをたてまえとした。
戦後、日本がまだGHQの支配下にあった時代に、旧字体は新字体に改められました。
とても簡易になり、書きやすくなった漢字たち。
その一方で、「漢字の持つ本来の意味」の多くを捨象してしまったのも事実でした。
旧字体を少し学んでみると、日本語の奥行きがいろいろと感じられます。



