前回は「鈴木貫太郎の「総まとめ」に突き進む決意〜命懸けの東條英機面会要請即却下・大日本帝国への回答を「独断遂行」した米国・他の三カ国へは通告のみ〜」の話でした。
侃侃諤諤閣議に「釘刺した」迫水書記官長:理由は不要+結論のみ

1945年8月13日、鈴木総理は、いよいよ閣議で「終戦=敗戦」を最終決定しようとしていました。
鈴木貫太郎まず、東郷外相から連合国側の正式回答について
話をしてもらいます。



それから、今日の午前中に開きました
最高戦争指導会議の模様も、



報告してもらいますので、
みんな、よく聞いて下さい。


この時、内閣書記官長(内閣官房長官)であった迫水久常は、この時の状況を克明に記録しています。



東郷外相が報告を始めると、
総理は両の手を膝の上において、



静かに目を
つぶっていた。
| 名前 | 生年 | 役職 |
| 鈴木貫太郎 | 1868年 | 内閣総理大臣 |
| 米内光政 | 1880年 | 海軍大臣 |
| 梅津美治郎 | 1882年 | 参謀総長(大本営) |
| 東郷茂徳 | 1882年 | 外務大臣 |
| 豊田副武 | 1885年 | 軍令部総長(大本営) |
| 阿南惟幾 | 1887年 | 陸軍大臣 |
| 昭和天皇 | 1901年 | 天皇 |
| 迫水久常 | 1902年 | 内閣書記官長 |
最年長であり、当時、77歳であった鈴木貫太郎首相。
自らの生命エネルギーを使い果たしてでも、敗戦=終戦に持ち込もうと必死でした。



・・・・・



おそらく、この四か月の
めまぐるしかった内外の情勢を思い出し、



一つ一つの出来事を
回想していたに違いない。



東郷外相の話が終わると、
鈴木総理は一段と声を張り上げた。



いよいよ、最後の決定をしなければ
ならない段階に到達しました。



今日は、皆様方、全閣僚から忌憚のない
意見を承りたいと思っています。



言葉には
厳然とした響きがあった。



この閣議が開かれる直前、わたしは
総理大臣室に鈴木総理を訪ね、次のような提案をした。



今日の閣議は、あまり長い時間をかけない方が
良いと思われますので、



最初に総理から、「各大臣の発言は理由を省略して
結論だけを簡潔に述べてもらいたい」と、



言われたら
いかがでしょう。



うむ・・・
そうしよう・・・



閣議が始まると、総理はそのことを
忘れていたのか、なんの発言もない。



私は、松坂法相の意見が述べられる前に
立ちあがって、次のように発言した。



皆様方のご意見を承る前に、
総理のご希望を私が代わって申し上げます。



この後、行事がたくさん詰まっていますので、
ご意見の発表については、



理由を差し控えて頂きまして、
ただ結論だけを簡潔にお願いします。
「とにかく結論を」と、決定を急いだのが、当時の帝国政府の閣議でした。
本来ならば、どんな状況でも「結論優先」は当然でしたが、侃侃諤諤が常だった当時の閣議。
迫水書記官長は、その状況に強く「釘を刺した」のでした。
吉積軍務局長に「大嘘」伝えた阿南陸相:「降伏」と揺れる帝国政府


全国の都市・街が空爆され、二発の原子爆弾を投下された当時の大日本帝国。



各大臣は、いろいろの
意見を述べた。



大部分の
閣僚は、



先方の回答を
承認すべきだ。



と、はっきりいう人が多かった中で、
阿南陸相の再照会論を支持する人も何人かいた。



鈴木総理に
一任しようではないか。



という人もいたし、何か言葉を
濁して結論を言わない人もいた。



結論を言わない大臣に対して、
総理はめずらしく、



あなたの結論は、
どうなんですか。



と、
問い返した。
「国家の危急」を超え、超非常事態にも関わらず、モヤモヤした大臣が多かったようです。
「まずは結論を」と要請されながら、曖昧な人物に対し、



「結論だけを簡潔に」
と言ったのに・・・
迫水書記官長も、相当苛立ったことでしょう。



閣議のリーダーは、もちろん、鈴木総理だが、
この日の主役は、東郷外相と言っても良かった。



東郷外相は、
何度も発言した。



これ以上戦争を続けても成算がないので、
十日のご聖断になったわけですから、



いまさら再照会して、話のいとぐちを切ってしまっては、
天皇陛下のお気持ちに反することになります。



私は、今日の午前中、皇居へ行き、
陛下にお目にかかってきました。



陛下からは、規定の方針に従って終戦の手続きを
するように、と重ねてお言葉を賜りました。



閣議が始まって間もなく、
私は阿南陸相から呼ばれた。



迫水書記官長、
ちょっとお願いします。



陸相は、私を連れて隣の部屋に入り、
すぐ、陸軍省の軍務局長室へ電話した。



今から、陸軍省の軍務局長室へ
電話します。



はい。



どういうこと
だろう?



そして、次のようなことを
言った。



ああ、吉積局長か、
阿南だ。



今さっき、閣議が始まったが、閣僚達は、
だんだん君たちの意見を了解する方向に向かいつつある。



!!!!!!



だから、君たちは、私がそちらに帰るまで
動かないで、じっと待っていてもらいたい。



ここに今、内閣書記官長がいるので、
もし、会議の模様を直接聞きたいともうなら、



電話を
代わっても良い。



!!!!!!!!!
なんの事前打ち合わせもなく、吉積軍務局長に「大嘘」を伝える阿南陸相。
さらに、ひょっとしたら、「軍部ど真ん中」吉積局長と「サシで話す」展開に、



電話を代わったら、
なんと答える?
迫水書記官長は、大いに驚きました。
玉音放送まで、あと二日。
様々な人物が様々な思いを抱いて、大日本帝国は戦争継続、又は終戦に向かっていました。
次回は上記リンクです。


