前回は「「本日天候晴朗なれども波高し」の真意〜「砲撃の精度の差」が出やすい天候・難しい試験と学力の差・「天候」と「天気」の違い〜」の話でした。
無条件降伏とは何か?:超異常事態への昭和天皇の決断

昨年、2025年は、日本の終戦(敗戦)後80年の節目でした。
当時、大日本帝国政府は、1945年8月14日に、ポツダム宣言を正式に受諾しました。

そして、同日、米国のトルーマン大統領は、大日本帝国のポツダム宣言による降伏を発表しました。
この日、第二次世界大戦が終わりを告げることになりました。
ポツダム宣言が発せられた1945年7月26日は、すでにイタリアが離脱し、ドイツが降伏していた状況でした。
当時、大日本帝国という名称だった日本。
日本は、米国を含む40カ国以上の国々に対して「ただ一国で戦っていた」状況でした。
誰がどう見ても「異常を超えた超異常事態」であり、敗北必至でした。

昭和天皇もはや降伏すべき
時である・・・
そして、御前会議において、昭和天皇は降伏を決断しました。
1945年8月15日、当時の昭和天皇は「大日本帝国の降伏」をラジオ放送しました。
当時は、神であった昭和天皇による生の声は、一般的な日本国民は聞いたことがありませんでした。
そのため、「玉音放送」とも呼ばれています。
今回は、ポツダム宣言に関して考えてみます。
無条件降伏の対象は「日本」ではなく「日本軍」:大人しめの連合軍要求


そして、ポツダム宣言受諾に合わせ、「終戦の詔書」が発布されました。



朕深ク世界ノ大勢ト
帝国ノ現状トニ鑑ミ・・・



耐ヘ難キヲ耐ヘ
忍ヒ難キヲ忍ヒ・・・
「終戦の詔書」において、これらの言葉が有名です。
上の写真は、「終戦の詔書」の冒頭部分です。
「終戦の詔書」に関しては、別の機会にご紹介します。
今回は、ポツダム宣言の全文を見てみましょう。
宣言
合衆国、中国および連合王国の政府首脳による宣言
一 我々、合衆国大統領と中華民国国民政府主席およびグレートブリテン首相は、我々の数億の国民を代表して協議を行い、日本にこの戦争を終結する機会を与えることで意見が一致した。
二 合衆国と大英帝国および中国の巨大な陸海空軍は、西方から自国の陸空軍による数倍の増強を受け、日本に対して最後の一撃を与える態勢を整えた。この軍事力は、日本が抵抗を停止するまで、対日戦争を遂行する全ての連合国の決意により支持され、また鼓舞されるものである。
三 覚醒した世界の自由な人々の力に対するドイツによる無益かつ無意味な抵抗の結果は、日本国民に対する極めて明白な先例である。現在、日本に対し集結しつつある力は、ナチスの抵抗に対し適用され、必然的に全ドイツ国民の土地、産業および生活様式に荒廃をもたらしたそれとは比較できないほど強大である。我々の軍事力は我々の決意のもとで最大限に行使され、それは日本国軍隊の不可避かつ完全な壊滅と、同じく不可避的な日本国本土の完全な荒廃を意味することになる。
四 愚かな打算により日本帝国を消滅の寸前まで陥れた身勝手で軍国主義的な助言者らに支配され続けるのか、それとも理性による道を歩むのかを、日本が決定すべき時が来たのである。
五 我々の条件は次のとおりである。我々は、これらの条件を逸脱することはない。これらに代わる条件は存在しない。我々は、遅延を許容しない。
六 日本国民を騙して道を誤らせ、世界征服に乗り出させた者たちの権力および勢力は、永久に除去されなければならない。無責任な軍国主義が世界より駆逐されるのでなければ、平和と安全および正義の新秩序が生じ得ないことを、我々は主張するからである。
七 そのような新秩序が建設され、かつ日本の戦争遂行能力が破壊されたことについて確証を持つことができるまでは、連合国が指定する日本国領域内の諸地点は、占領されなければならない。我々がここで述べる基本的な目的の達成を確実とするためである。
八 カイロ宣言の条項は履行されなければならず、また、日本の主権は本州、北海道、九州および四国、ならびに我々の決定する諸小島に限定されなければならない。
九 日本国軍隊は、武装を完全に解除された後、各自の家庭に復帰して平和的かつ生産的な生活を営む機会を与えられなければならない。
十 我々は日本人を民族として奴隷化したり、国民として滅亡させる意図を有さないが、我々の捕虜に対して虐待を行った者を含む一切の戦争犯罪人には、厳格な処罰が下されなければならない。日本政府は、日本国民の間における民主主義指向の再生および強化に対する一切の障害を除去しなければならない。言論、宗教および思想の自由、ならびに基本的人権の尊重は確立されなければならない。
十一 日本は、自国の経済を支え、正当な現物賠償の強制取立てを可能とするような産業の維持を許される。ただし、戦争のための再軍備を行うことを可能とするような産業の維持は許されない。この目的のため、原材料の統制とは異なる形で、原材料の入手を許されるものとする。日本は、将来的には世界貿易関係への参加を許されるものとする。
十二 これらの目的が達成され、日本国民の自由意思に基づき、平和指向かつ責任ある政府が樹立された場合は、連合国の占領軍は、直ちに日本から撤収するものとする。
十三 我々は、日本政府に対して、直ちに全日本軍隊の無条件降伏を宣言することを要求し、その行動における同政府の誠意について、適切かつ充分な保証を提供するよう要求する。日本にとって他の選択肢は、迅速かつ完全な破壊のみである。
ポツダムにて、1945年7月26日
ハリー・トルーマン
ウィンストン・チャーチル
中華民国政府主席
今回は、ポツダム宣言の最後の第十三条に注目します。
ここで、連合軍は無条件降伏を要求していますが、その要求対象は「日本」ではありません。
明確に「全日本軍隊」に対して「無条件降伏」を要求しています。
さらに、「日本政府に対して、全日本軍隊の無条件降伏を宣言」と記載されています。
「日本政府」が「全日本軍隊の無条件降伏を宣言」も重要です。
この文面は、主に米国が、日本に対して「降伏を受け入れやすいように気遣った」形跡があります。
多数の戦死者を双方出していた大戦争としては、連合軍の要求は「やや大人しめ」でした。
時々、



日本は、ポツダム宣言を
受諾して、無条件降伏しました・・・
このように語る人もいますが、明確な誤りです。
「日本は無条件降伏はしていない」ことは、ぜひ知っておきましょう。

