前回は「「開拓使」という名前だった北海道〜「薩摩」に表情がこわばった咲子・廃藩置県後の日本の国家像・和やかな浩と咲子の初期の会話・「フランス語の達人」だった大山巌〜|山川捨松40・人物像・エピソード」の話でした。

覇王ナポレオン止めたウェリントン元帥:「世界の中心」欧州と英仏

日本人に大人気のフランス・パリ。
19世紀まで、世界の中心は欧州であり、そして欧州を牽引し続けたのがフランスと英国でした。
この両国は、「欧州の覇王」をめぐって、何度も何度も戦争した歴史があります。

20世紀初頭まで、大英帝国は「超大帝国」であり、世界中に領土を持ちました。

ナポレオン全欧州を
我が手に!
そして、19世紀初頭には、ナポレオンが暴れ回り、欧州のほとんどがフランス領・従属領となりました。


1812年のフランス領・従属領が上の赤線の枠内です。
本当に「欧州のほとんど」を、制圧したナポレオン。
卓越した「兵力の集中」戦略を駆使した大将軍だったナポレオンは、常勝将軍でした。



残るは、
UK(大英帝国)のみ!
いかに、世界中に領土があり、圧倒的国力を持っていた大英帝国と言えど、「風前の灯」となりました。





あまり
調子に乗るなよ!



な、
なにっっ!!
ここで、大英帝国の陸軍を率いたウェリントンが登場し、ナポレオンは大敗を喫しました。
「ワーテルローの戦い」で、まさかの大敗北を喫したナポレオン。
その後、ナポレオンは失脚し、「フランス大帝国」は消滅しました。
「見上げる憧憬の国」だったフランス:「地獄の記憶」が蘇る咲子


現代においても、フランスは大国であり、パリは「憧れの都市・街」です。
そして、1800年代初頭に「超大帝国」となったフランスは、幕末から明治の日本人にとって、



世界最先端の
国・フランス・・・
フランスは「憧れの国」を遥かに超えて、「見上げる憧憬の国」でした。


そのフランスに留学し、フランス語の達人である人物が、咲子のまえに現れました。



フランス留学経験があって、
フランス語が堪能な方・・・



私にとって、
最高の方・・・
当初、咲子は、こう感じていたでしょう。
当時の「フランス留学」は、現代の「米国ハーバード大学留学」を遥かに超える存在でした。
そもそも、「留学」の価値が、現代と当時では全く異なります。
「結婚に否定的」だった咲子は、一気に「結婚に肯定的」になりかけたところ、



実はだな、
咲子・・・



実は、その方は
薩摩だ・・・



・・・・・
その「意中の人物」が「最悪以下」である薩摩出身であることに、凍ってしまった咲子。



・・・・・



薩摩・・・
なの・・・
ここで、咲子は、「会津と薩摩」の歴史を思い出しました。






戊辰戦争が勃発し、会津戦争が起きた1868年は、1860年生まれの咲子が8歳の頃でした。
現代の小学校2年生の頃に、「未曾有の大戦争」に遭遇した咲子。
小学校2年生ならば、いろいろなことが記憶に残る年頃です。
まして、自分の国で戦争が起こり、多数の会津人・同国人が亡くなった大戦争でした。



・・・・・
当時、会津城の防衛司令長官であった浩の妹であった咲子も、武器弾薬を運ぶなど手伝いました。



あの砲弾が
炸裂する前に・・・



私が砲弾の炸裂を
止めてみせるわ!
濡れ筵(むしろ)などで、飛び込んできた砲弾を破裂寸前で押さえる「焼玉押え」の女性もいました。



ドカンッ!



きゃっ!
中には、砲弾が破裂し、身体が木っ端微塵になった例もあったと思われます。
「この世の超絶地獄」に関する話を、上記リンクでご紹介しています。
記録がありませんが、なんらかの「凄惨な現場」を小学校2年生の咲子は「多数見た」でしょう。



・・・・・
この「地獄の記憶」を「思い出さざるを得ない」咲子でした。
とっても良い気持ちであったのに、一気に「地獄の底に落とされた気持ち」になった咲子。



薩摩の方と、
私が結婚するの?



・・・・・



咲子が断るなら、
それも仕方ない・・・
大山巌という存在を点数化・偏差値化して「理解した」浩。
理解はしましたが、最も重要なことは「咲子の気持ち」です。


1877年に勃発した西南戦争は、咲子は米国留学中だったので、「遠い自国で起きた大事件」でした。
現代のようにインターネットがある時代と全く異なり、当時は事情をあまり知りませんでした。





この佐川官兵衛、
薩賊を討滅してくれる!
1831年生まれの佐川官兵衛は、咲子の29歳年上の「おじちゃん」でした。
山川浩と並び「知の山川、武の佐川」と称された佐川官兵衛。



ぐ、
ぐふっ・・・
おそらく、当時、浩と親しい関係にあった佐川と咲子は会っていたはずです。



官兵衛おじちゃんは、
薩摩とまた戦った・・・



そして、官兵衛おじちゃんは
薩摩に殺された・・・
「自国民を多数殺した相手」とは、「会いたくもない」のが普通の神経です。



・・・・・
苦渋の表情を見せる咲子に対し、



・・・・・
浩は、何も言えませんでした。


