前回は「北海道の川の長さベスト4は?〜川の流れる先の海はどこ?・地理は「地形を理解」して総合力アップ〜」の話でした。
「人物」と「時代の節目」が大事な歴史の学び:歴代徳川将軍と時代

今回は、徳川幕府の将軍に関する問題を考えてみましょう。
「暗記科目」と考えられる傾向が強い、中学受験〜大学受験の社会。
確かに、地理は「暗記科目」の傾向が強いですが、歴史は「流れを理解」すると理解が深まります。
人名・年号(年代)・出来事などを「丸暗記」も良いですが、内容の理解がより大事です。
歴史は「人と人が紡ぐ物語」なので、「人を主体」に考えるのが良いです。
徳川将軍は15代=15人いますが、著名な将軍は上の4名です。
「どの将軍が著名か」は主観が入りますが、中学受験では、上の4名は頻出です。
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2025年度の開成中学の問題では、多数の人名などを「選択肢ではなく答える」出題がありました。
本問に関する話を、上記リンクでご紹介しています。
参考書などでは、あまり触れられていない事実ですが「徳川吉宗はちょうど中間の第8代将軍」です。
15人いる徳川将軍の中で、「1代(初代)、3代、8代、15代(最後)」が著名・頻出将軍となります。
この中で「最初と最後」が有名になるのは、本人の偉業もさることながら「時代の節目」も大事です。
そして、「初代の偉業を固める=3代目」と「中間=8代目」もまた、「時代の節目」ともリンクします。
この観点から考えると、「人物」と共に「時代の節目」も歴史では大事な視点です。
徳川吉宗が実施した政治・政策の中で、特徴あること3つを箇条書きで説明して下さい。
今回は、吉宗の政治=享保の改革を、記述で説明する問題を考えましょう。
徳川吉宗の「享保の改革」とは何か?:直前期は「丸暗記より理解」

徳川吉宗この吉宗は、
享保の改革を実施したのだ!
徳川吉宗といえば、享保の改革であり、中学受験では「吉宗と享保の改革でセット」になっています。
確かに「享保の改革」という言葉は大事ですが、最も大事なのは政策の内容です。
日本の政治でも、昔から「改革、改革」と叫ばれていますが、「改革の内容」が最重要です。
そして、その「改革の内容」を実行する政治力・実行力がさらに重要です。
それでは、具体的に記述で考えてみましょう。
A:・足高の制。
・目安箱。
・質素倹約。(1点)
B:・多くの人を集めるため、足高の制を設けた。
・目安箱を置いて、人の意見を聞いた。
・自分も質素倹約を行い、無駄を省いて、武士の統制を強化した。(2〜3点)
C:・人材登用と財政再建の目的で、足高の制を設けた。
・一般の人々が政治について自由に意見を言えるように、目安箱を置いた。
・自ら質素倹約を率先遂行し、旗本に勤勉と武芸を奨励して幕臣の士気を鼓舞した。(3点)
享保の改革には、大きく8つほどのポイントがあります。
今回は、中学受験で学ぶことが多い「足高の制、目安箱、質素倹約」を取り上げました。
Aは、正しいですが「言葉のみ」なので1点です。



内容を説明して
下さい。
このように出題者が「説明を求めている」時は、単語のみ答えると大きな減点となります。
ただし、「書かない」よりは遥かに良く点数となる可能性があるので、少しでも書くようにしましょう。
Bは、大体良く、中学受験では満点で良いと考えます。
足高の制は、人材登用のみではなく、財政再建も大事なので理解しておきましょう。
目安箱は、「箱が置かれた」点で分かりやすいですが、「意見を投書」する目的が大事です。
Cは、模範解答例に近く、文章の最後に「具体的に実施した事項」を書いているのが良いです。
・身分が低い旗本を重役に就ける時のみ役高を増加して、人材登用と財政再建のために足高の制を設けた。
・政治の公平を期すために、一般の民衆が政治や裁判について意見を自由に投書出来る目安箱を評定所に設置した。
・自ら率先して質素倹約を奨励し、豪華な衣類ではない木綿の着物を着て、鷹狩りや砲術などの学問を学び、旗本や武士の武芸を奨励して、幕臣(旗本)統制を強化した。
模範解答例は、「小学生が書く」ことを想定してなく「大人が書いた模範的文章」です。
一つの参考例として下さい。
「目安箱を置いた場所」が、評定所である点は、重要です。
評定所は、当時の裁判所でした。
中学受験では、「足高の制・目安箱・質素倹約」の三点セットとなりがちな享保の改革。
実は、もっと大事なことがあります。
次回は、「享保の改革で大事なこと」の話です。
次回は上記リンクです。



