前回は「「公式を証明する」学び〜バッテンして掛け算・未知数を増やしてシンプルに考える・「分かりにくい」式は出来るだけシンプルに〜」の話でした。
大事な等式の扱い:加減乗除で保存される「イコール」
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小学生・中学受験生が、上の分数に対して「バッテンして掛け算」することが多いです。
上の等式の理解のために、少し実験して比例関係をつかんで、実際に掛け算してみました。
上の考え方は、少し数学的発想ですが、「等式=k」とおいて、掛け算の順序入れ替えで証明しました。
今回は、これらとは少し異なる視点で、この「分数と掛け算の関係」を考えてみます。
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ここで、「等式の扱い」に関して総復習しましょう。
上の等式では、「P=Q」が示されています。

これだけでは、
何も分からないけど・・・
イコールで結ばれている、この等式「P=Q」に同じ数(量)を加えても、イコールのままです。



これは、
確かにそうだね。
等式「P=Q」に同じ数(量)を加えても、引いても、イコールのままです。
いわば、加算(足し算)と減算(引き算)によって、「イコールが保存される」のが等式です。
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今度は、等式「P=Q」に同じ数(量)を掛けてみます。



これも
同じになるはずだね!
割り算は「掛け算とお友達」なので、同様に考えられるので、同じ数(量)で割っても同じです。
乗算(掛け算)と除算(引き算)によって、「イコールが保存される」のが等式です。
この考え方を発展させてみましょう。
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これらを組み合わせて考えると、等式「P=Q」に、適切に加減乗除してもイコールのままです。



これは、言われてみたら
当たり前だけど・・・



ちょっと
不思議な感じもするね。
この考え方は、算数の問題を解く時に、よく登場します。
◯や△などの未知数を設定して「片方を消す」際に、等式を変形して消去します。



消去算の時は、
数式を何倍かしたりするね!
この意味では、「普通に行なっている」のが、加減乗除による式変形です。
実は、この「加減乗除による式変形」は奥が深いので、色々と計算してみると「気づき」があります。
そもそも、始まりは「イコールで結ばれている等式」です。
「加減乗除による式変形」において、「誤った計算」をすると、イコールにならないことがあります。
この「イコール」こそが、算数や数学の本質であり、式変形の際には意識すると良いでしょう。
「公式を徹底理解」して学力アップ:一番分かりやすい整数
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今回は、「バッテンして掛け算」を式変形で考えてみましょう。
上の分数に対して、「イコールのまま」になるように式変形することを考えてみましょう。
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「整数の除算(割り算)」である分数は、分かりやすいようで、わかりにくい面があります。
そこで、「整数になるには?」を考えると、上のように、それぞれに掛ければ良い数字があります。
算数の計算においては、基本的に整数・小数・分数が登場し、時々、円周率などが登場します。
基本となる「整数・小数・分数」の中では、やはり整数が一番分かりやすいです。



確かに、小数や分数よりも
整数の方が分かりやすいね。
なぜ、小数や分数よりも整数の方が「分かりやすい」のかは、身の回りに整数があるからです。



例えば、私のクラスが
38人で、男子20名、女子18名・・・



人数は
全部整数だね!
人数が小数や分数になることは、あり得ないことで、必ず整数になります。
「人数は必ず整数」を題材にした整数問題の説明を、上記リンクでご紹介しています。
身の回りには、小数は時々登場します。



ガソリンが
20.8Lで〜円です。
ガソリンスタンドで給油する際は、たいてい小数になります。
これに対して、分数を日常生活で見かけることは少なく、ほとんどが「算数や数学の世界」です。
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左辺にAを掛ければ、右辺にCを掛ければ、それぞれ整数になるので、「AxCを掛ける」ことを考えます。
もともと「イコールで結ばれた」両辺にAxCを掛けたら、求める掛け算が出ました。



なんだか、
あっけない感じだけど・・・



パッとバッテンの掛け算が
出てきたから、嬉しいね!
前回までの「掛け算の順序入れ替え」などと比較すると、あっという間に計算が出来てしまいました。



AかCのどちらか、ではなく
「AxCを掛ける」のがポイントだね!
等式の両辺に対して、「両方の側(左辺と右辺)」に都合の良い数字を、まとめて掛けました。
以上で、「バッテンして掛け算」を3つの考え方でしっかり理解しました。
それぞれの考え方に類似する点がありますが、それぞれの特徴もあります。
・「公式を覚える」のではなく、導き方を理解して総合力アップ
・公式を多角的な視点から見て、算数や数学の様々な考え方を理解して学力アップ
このように、算数や数学においては「公式丸暗記」ではなく、公式を理解すると学力が上がります。
様々な分野の公式を、もう一度「理解しながら総復習」すると良いでしょう。
次回は上記リンクです。