前回は「40年間で大躍進した女子校の東大合格者数〜1985年各高校東大進学実績の傾向・有用な「昨年比」データ・時代の変化と学び〜」の話でした。
1985年東大合格進学実績から垣間見える事実:各科類の特徴

40年前の1985年に発刊された、週刊朝日の「大学進学実績特別号」を古書店で見つけました。

現代は主にネットで大学進学実績が集計・公開されていますが、当時はネットがなく雑誌中心でした。
週刊朝日やサンデー毎日の「大学進学実績特集号」は、毎年3月下旬に発売され、大人気でした。
書店では、うず高く積まれ、年間発行部数の中でもトップ層にあったと考えられます。

これらの特集号では、東大や京大に関して「合格者が多い上位校」のみならず「全て公開」が特徴でした。
「合格者一名」の高校まで、全て網羅しており、「確定率100%」を謳っていたのでした。
この1985年では、各科類ごとのランキングも発表されており、なかなか興味深いです。
上位校は理系も文系も強いですが、それでも「理系か文系のどちらかにやや強い」傾向があります。
「たまたま」かも知れませんが、文科一類では、上位5校が全て私立校であるのが特徴的です。
男女共学であり、多数の合格者を輩出していた東学大付(学付)と筑付も大きな特徴があります。
理科二類では、「東学大付が二位、筑付が三位」にも関わらず、理科一類では全く登場しません。
また、理科一類と理科三類では、上位校は全て男子校も大きな特徴です。
大勢の女子の合格者を出していたはずの東学大付(学付)と筑付出身の理系女子は、

私は理系に
進みたいけど・・・



女子はやっぱり、
理1より理2かな・・・
おそらく、理系女子たちの中では「理1より理2」という意識が強かったと考えます。
「昭和から平成」の女子御三家の大躍進:日本社会の大きな意識改革


上のグラフは、文部科学省が発表している「学校種別進学率の推移」です。
1985年当時は、男子の大学進学率が少し下落傾向にあった頃で、男子は38%ほどです。
対して、女子の大学進学実績率は、ほぼ横ばいの傾向で10%ほどでした。
現代では、男子58%程度、女子51%程度で「男子がやや高い」大学進学率。
1985年の昭和60年は、後世から見れば「昭和の終わりの頃」でした。
大学進学率が男子38%に対して、女子10%は「男子が約4倍の割合」で極めて大きな差がありました。
この「極めて大きな差」は、



女子は大学に
進んで勉強しなくても・・・



女性は家庭を守る立場だから、
大学で勉強する必要はないのでは・・・
日本社会において、「女子は大学に行く必要はないのでは」という社会通念が強かったと思われます。
現代で「女子率20%程度」の東大では、この頃は、もう少し低い水準だったと考えられます。
東大の女子率が異常に低い話を、上記リンクでご紹介しています。
女子の大学進学率が急速に高まったのは、昭和から平成に切り替わった平成の初期の時期です。
現代日本において、この「昭和から平成」の時期は、最も大きく社会が変化しました。


一度は焼け野原となり、日本(大日本帝国)中、日本人全員が極めて困難な状況に追い込まれました。
この敗戦から40年ほど経過し、日本は不死鳥の如く蘇りました。



我が日本は科学技術が
世界一で、経済力も圧倒的だ!



我が日本が
最強だな!



そうよ!
この日本が米国に追いついてみせる!
いわば日本中が「光り輝いていた」時代でした。
そして、1980年代は「バブル景気」となり「蘇った」を超えて、圧倒的な存在となった日本。
この頃は、まだまだ「戦争の傷」を知っている世代が多数いらっしゃいました。
第二次世界大戦で最前線で戦った経験を持つ、将兵たちが様々な分野で活躍していた時代です。



私は、戦時中に
海軍で戦ったが・・・



あの頃は、私は25歳ほどで
若かった・・・
敗戦時に25歳くらいの若者だった人は、1985年の40年後は、まだ65歳頃で元気でした。
そして、元軍人の方々は、大変しっかりしている傾向が強く、年を召されても、



あの戦いでは、
〜ということがあって・・・



我が軍は、〜のように
戦ったが、米軍の圧倒的力で・・・・
当時の状況が「頭脳に記録されている」かのように、極めて明瞭に語ることが出来る人が大勢いました。
そして、昭和天皇が崩御され、昭和から平成になり「第二次世界大戦との区切り」が出来た日本。


1989年が平成元年となり、この時に日経平均株価は最高となりました。
その後、急速に日本経済は悪化し、「失われた30年」と呼ばれる時代に突入しました。
海外の方にとっては、日本の元号は無関係ですが、日本人にとって「元号は重要」です。
「戦争の歴史を持つ昭和」から、「正式な戦後の時代である平成」となり、



女子もしっかり
勉強して、大学で学ぶのが良いわね!
「女子も大学へ」の風潮が急速に強まりました。
そして、おそらく1990年頃から、桜蔭・女子学院・雙葉の「女子御三家」始めとする女子校は、



時代は、「女子も大学へ」になった
から、我が学校も東大などを目指そう!



我が校も、女子生徒たちを
東大や京大へ!
「東大や京大へ」という方針を強化して、大学進学実績が大きく伸びたと考えます。
高校名 | 東大合格者数(1985年) | 東大合格者数(2025年) |
お茶女大付 | 21 | 5(2024年) |
桜蔭 | 21 | 52 |
女子学院 | 8 | 28 |
豊島岡女子 | 0 | 26 |
雙葉 | 5 | 15 |
そして、現代の「東大合格実績」で上位常連校となる女子校の進学実績は大きく増進しました。
この「各大学での女子率の上昇」は、日本社会において、大変良いことです。
「昭和から平成へ」で、大きな変革が発生して35年。
この時の「日本人の意識の変化」と同等の変化が、今後起こる可能性は低いです。
その中、女子高校生の皆さんは、女子校・共学校に関わらず、



一生懸命勉強して、
東大目指そう!



私は物理が好きだから、
最先端の研究するために、京大へ!
一生懸命勉強して、日本を良い方向へ変える原動力となって欲しいと願います。
次回は上記リンクです。