選択肢がほとんどない「記述ばかり」の戦前中学入試〜現代と全く異質・幅広い知識を求めた戦前理科入試・「選択肢から」vs「答えを書く」〜|昭和初期の中学入試問題6・昔の中学受験

前回は「記述力が求められた難問の戦前の中学入試社会〜宗教の影響・大学生も難しい「アルカリ性とは何?」・歴史は人々が紡ぎ出す物語〜」の話でした。

目次

幅広い知識を求めた戦前理科入試:「選択肢から」vs「答えを書く」

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1934年度 日立中学校入学試験問題:算数(茨城県下中等学校入学試験問題集、新教育紀行)
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1934年度 日立中学校入学試験問題:算数(茨城県下中等学校入学試験問題集、新教育紀行)

戦前の1934年(昭和9年)の日立中学校の入試問題算数は、極めて易しい出題でした。

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1934年度 日立中学校入学試験問題:国語(茨城県下中等学校入学試験問題集、新教育紀行)
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1934年度 日立中学校入学試験問題:国語(茨城県下中等学校入学試験問題集、新教育紀行)
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1934年度 日立中学校入学試験問題:国語(茨城県下中等学校入学試験問題集、新教育紀行)

国語の試験は、現代の中学受験のように「長文読解」はなく、分量としては極めて少ないです。

その一方で、当時の時代・社会・環境の理解が必要で、難易度はやや高めでした。

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1934年度 日立中学校入学試験問題:理科(茨城県下中等学校入学試験問題集、新教育紀行)

理科は、あっさりし過ぎているくらいで、たったこれだけの出題でした。

現代の中学入試ならば、大問が数題あり、それぞれに長い文章がついていることが多い理科。

出題者

アルカリ性とは
どんな性質ですか?

この質問に対して、的確に答えられる中学受験生は少ないと考えます。

この問題は大学受験で出題しても、「ほぼ満点」は、かなり少数となると考えます。

もちろん、大学のレベルにもよりますが、最難関レベルの大学でも「満点」は少数派と考えます。

ここで面白いのは、

出題者(戦前)

アルカリ性のある物の名を
知っているだけ書きなさい。

「知っているだけ書きなさい」という出題です。

現代の中学入試ならば、選択肢があって、

出題者(現在)

下記から、アルカリ性の水溶液を
選び、記号で答えなさい。

このように「記号で選ぶ」出題がほとんどです。

更に、この出題では「アルカリ性のある」という言葉がポイントです。

「物」というのは、少し抽象的ですが、「水溶液でも固体でも良い」ことになります。

この観点から考えると、答えは様々考えられます。

そして、「知っているだけ」と記載あるので、「的確な答えが多いほど点数がつく」のでしょう。

この点は、「選択肢から選ぶ」よりも幅広い知識を求めている出題と考えます。

選択肢がほとんどない「記述ばかり」の戦前中学入試:現代と全く異質

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1934年度 日立中学校入学試験問題:社会(茨城県下中等学校入学試験問題集、新教育紀行)
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1934年度 日立中学校入学試験問題:社会(茨城県下中等学校入学試験問題集、新教育紀行)

続いて、社会では、初めて「選択肢」の問題が出題されました。

「選択肢」ですが、現代の中学入試のように「ア」や「う」ではなく、「答えを書く」タイプです。

そして、後半では、

出題者

キリスト教は、
どんな影響を及ぼしましたか?

このように「キリスト教の影響」という、かなり深く、広い出題がされました。

現代の中学入試では、解答用紙に解答欄があることが、ほとんどのケースです。

更に、場合によっては「〜字以内」や「〜字以上〜字以内」などの条件がつくことが多いです。

それに対して、上の出題では文字数等は一切規定がありません。

筆者が所有する、上の問題の出典の書籍には出題のみの記載であり、解答用紙や解答はありません。

そのため、「どの程度の長さの文章を求めていたか」は不明です。

あるいは、模範解答例がないため「どの程度のレベルの解答を求められたか」も不明です。

おそらく、「キリスト教の歴史と現在に関わる文章200字程度」は求められたと考えます。、

これは筆者の推測に過ぎませんが、問題文の全体傾向からして、そのように感じます。

とにかく「記述ばかり」だった、戦前の中学入試問題。

現代の中学受験生にとっては、「ほとんど縁がない」ような形式・出題ともいえます。

その一方で、良い問題も多く、これらの問題から学ぶことは多いと考えます。

次回以降も、更に戦前の入試問題を見てゆきたいと考えます。

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