前回は「時間と距離の比を合わせて考えるコツ〜問題の視点を変える発想・「時間の起点」を変える・大事な「普通の」解き方・20(2)解法A〜」の話でした。
何時でも良かった「午後2時」:「全ての数値を使わない」算数の問題
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上のような問20を考えました。

午後2時に駅から16.8kmの地点にBが、
Cは駅から14kmの地点でした。



午後2時にAは
どこにいましたか?
(1)では「午後2時にAがどこにいたか?」が問われました。



午後2時以降、
Cは速さを増加させて・・・



Aに追いついてから
Bに追いつくまでの時間は・・・



午後2時からAに追いつくまでの時間の
6倍の時間がかかりました。
(2)では、午後2時以降のA,B,Cの動きがテーマになりました。



そういえば、「午後2時」が
A,B,Cの動きが異なる時間だけど・・・



「午後2時」の「2時」は
(1)でも(2)でも計算に出てこなかったね・・・



状況が変わる、という意味では
午後2時は重要だけど・・・



確かに具体的に
「2時」は計算しなかったね・・・
この問題では、「午後2時に状況が変わる」点がポイントです。
ところが、「午後2時」である必要はなく、「午後3時」でも「午後4時」でも良いことになります。



ということは、
何時でも良かった、ってこと?



「何時でも」「何でも」良い数値が
問題に登場するんだ・・・
今回の問題は「問題文の全ての数値を使わない」算数の問題でした。
今回は、この「何時でも良かった午後2時」の話です。
「全ての数値を使う」と思いこまない発想
25Speed02ts
この問20の原題となる、1973年の武蔵中学の出題が上の文章です。
原題では(1)のみで、(2)を筆者が追加しています。



駅から16.8kmの地点にBが来た時、
Cは駅から14kmの地点でした。



この時、Aはどこに
いましたか?
原題では、「午後2時」は登場せず、「この時」と記載されています。
つまり、原題の出題者は、



「この時」の
具体的な時間、数値は不要だ。
このように「具体的な時間は不要である」認識を、問題文に表現していました。
今回、筆者が(2)を追加しましたが、「午後2時」は不要な数字です。
その理由は、「〜分後」や「〜時間後」などの具体的な時間の推移がないからです。
(1)に続いて(2)では、問題文に「追いつく時間の比」が記載されているのみでした。
そのため、筆者は(2)の問題を追加する際に、



全て「この時」を
起点にすれば、適切に問題は作成できるけど・・・



「この時」を繰り返すと、
問題文が少し曖昧になる・・・



だから、「この時」を
具体的に「午後2時」にすれば、分かりやすいだろう・・・
このように考えた結果、「この時」を「午後2時」と表現しました。
原題では、「この時」と一度記載あるのみで、この表現は適切です。
これに対して、(2)の状況を説明するには、「この時」が複数回登場するので、



「この時」は一度きりだけど、
分かりにくい・・・
こう感じる人もいるかも知れず、あまり適切な表現ではないです。
国語や社会の文章の表現では、「曖昧さ」はあっても良いと考えます。
国語や社会に対して、算数や理科の文章では「曖昧さ」は出来るだけ避けるべきです。
その結果、「午後2時」という表現を使用しましたが、



「使わない具体的数値」が
「ある」ことも表現出来るかな・・・
筆者は、このように考えました。



算数では、
問題文に記載ある数値は必ず全て使う!



なぜならば、出題者が
そのように問題を作成しているから!



よしっ!
問題文の数値は全てチェック!
このように、算数の問題では「問題文にある数値は全て使う」と習う人もいると思います。
実際には必ずしもそうではなく、「問題文にある数値は全て使わない」問題も存在します。
ただし、この「問題文にある数値は全て使わない」問題は、極めて稀と考えます。
原則としては「問題文にある数値は全て使う」問題がほとんどなので、その認識で良いです。
学習の際には、何かを「思い込み過ぎない」姿勢も大事と考えます。
今回の問20を、「思い込み過ぎるのは良くない」一例と考えて頂ければと思います。
次回は上記リンクです。