「計算の腕力」で解き抜く力を育てるコツ〜複数の未知数が複雑にある式の計算・時間から移動距離を計算・20(2)解法B〜|速さと比・武蔵中1973年算数7・過去問・中学受験

前回は「時間と距離の比を合わせて考えるコツ〜問題の視点を変える発想・「時間の起点」を変える・大事な「普通の」解き方・20(2)解法A〜」の話でした。

目次

複数の未知数が複雑にある式の計算:時間から移動距離を計算

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前回は、問20(2)の問題を解きました。

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この問題を解く際の大事なポイントは、「時間の起点を変える」視点でした。

出題者

Aに追いついてから
Bに追いつくまでの時間は・・・

出題者

午後2時からAに追いつくまでの時間の
6倍の時間がかかりました。

出題者が「1:6」と設定した時間の比を、「時間の起点を両方とも午後2時」にしました。

その結果、時間の比が「1:6」から「1:7」に変わり、問題が解きやすくなりました。

問題に対する視点を変える

・「時間の起点」など出題者の設定と異なる視点

・文章題に限らず、図形問題などで「異なる辺の長さ」や「異なる図形の面積」の比など視点変更

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この「時間の起点変更」を考える際に、上のように未知数設定して時間と距離の計算を試みました。

この計算を進めるのは、ちょっと難しそうです。

そもそも、分母に「未知数-未知数」があるのは、算数の考え方では難しいです。

ただし、「BがAに追いつく間に、BもCも移動している」のは正しい事実です。

そのため、この立式・考え方は、算数的に正しいことになります。

男子小学生

確かに、考え方は
正しいけど・・・

女子小学生

ここから先を
計算するのは難しそう・・・

今回は、この「BがAに追いつく時間」を真面目に計算して、解くことを試みます。

「計算の腕力」で解き抜く力を育てるコツ:20(2)解法B

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前回の(2)解法Aでは、考え方によっては「Cの午後2時以降の速さを未知数設定」は不要でした。

「比の差は、元々ある差」という算数的な考え方は、最も良いです。

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この「比の差は、元々ある差」に気づかなくても、「比の基本」となる立式から解くことが可能です。

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そこで、「Cの午後2時以降の速さを未知数設定」して、移動距離を計算して解きましょう。

今回は、算数的発想としてはハイレベルとなるので、最難関校志望・算数が得意な方向けの話です。

計算としては「算数の範囲」ですが、考え方が「やや数学的」です。

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未知数設定した上で、全て「単位はkm」であるとします。

実は、この「単位」に関しては設定しなくても解けますが、考え方として単位は重要です。

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「CがAに追いつく時間」と、その間に「BとCが移動する距離」が計算出来ます。

少し複雑な式となりますが、そのまま計算を進めます。

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すると、この間に「BとCが移動する距離」から「CとBの位置の差」が計算できます。

そして、この「CがBに追いつく時間」が「CがAに追いつく」時間の6倍と立式できます。

男子小学生

この式は複雑すぎて、
解けないよ・・・

女子小学生

これは
解くことが出来るの?

この式は「方程式に近い」式ですが、解くのはそれほど難しくないです。

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分数同士が等しい時、両辺に「分母同士を掛ける」と分数ではなくなります。

すると、一見複雑な分数も計算しやすくなる傾向があります。

分数の計算に関する話を、上記リンクでご紹介しています。

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一見、かなり複雑な分数の式ですが、同じ考え方で「分母に同じ数」を掛けて計算します。

男子小学生

この式なら、
なんとか計算できそうだね。

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すると、もう少し計算を進めてゆくと、「午後2時以降のCの速度」が計算出来ました。

女子小学生

すごく難しそうな
計算だったけど・・・

女子小学生

こうして、分母を消す
計算方法なら、出来そうだね!

今回の解法Bは、やや時間もかかり、ハイレベルなので「万人向け」ではありません。

その一方で、「速さの基本に忠実に計算した」解法です。

こういう複雑な計算をやり抜く「計算の腕力」は、算数や数学では大事な力と考えます。

「単なる計算問題」とは異なり、自分の設定した未知数などに対して「やり抜く力」は大事です。

算数が得意な人、最難関校を目指している人は、「計算の腕力」を鍛えておきましょう。

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