「やりましょう」の「やる」とは何か?」〜会話から「読み解く」力・「読み解く力」を育む学び・「書いていないこと」を深読みする学び〜|中学受験・読解力と読み解く力2

前回は「「読解力=処理的能力」と「読み解く力=深読みする力」〜読解力とは何か?・様々な「〜する力=〜力」と読解力〜」の話でした。

目次

「読み解く力」を育む学び:「書いていないこと」を深読みする学び

新教育紀行
雲と空(新教育紀行)

筆者は、「読解」力と「読み解く」力は、明確に異なると考えます。

普通に「日本語を理解する」視点では、これら二つの力は「同じはず」です。

「読解」と「読み解く」は、前者が漢字二文字による熟語・名詞であり、後者は、前者を「ふりがな」を咥えて「動詞化」した言葉とも言えます。

「読解」力と「読み解く」力

・「読解」力=文章に「書いてあること」を的確に把握して処理する力

・「読み解く」力=文章に「書いてないこと」を深読みして理解して表現する力

ところが、中学受験〜大学受験において、これら「読解」力と「読み解く」力は全く異なります。

筆者は、高校受験をしていませんが、中学受験、大学受験、いずれも国語を受験しました。

中学受験の時は国語が得意科目でしたが、大学受験の時は国語は苦手科目でした。

中学受験の時よりも、大学受験は「子どもの個性が大きく分かれる」傾向があります。

そのため、「自分の好きな科目」と「自分の好きではない科目」が大きく分かれる傾向があります。

典型的「理系学生」だった高校生の筆者にとって、

武蔵中高生の筆者

国語は
どうでもいい・・・

国語は「どうでもいい科目」になっていましたが、漢文は楽しかったです。

三国志や「項羽と劉邦」などの話が多数登場する漢文は、読んでいてとても面白かったのが中高時代の思い出です。

「読解」力と「読み解く」力の対象

・「読解」力=主に選択肢問題

・「読み解く」力=主に記述問題

筆者の視点から考えると、「読解」力は、主に「選択肢問題向け」です。

対して、「読み解く」力は、主に記述問題向けです。

ここで、「記述問題」には様々な「問題の構成」があります。

記述問題の構成

A:「標準的」記述問題=文章に書いてあることを抜き出してまとめる

B:「ハイレベル」記述問題=文章をもとに「読み解く」上で、書いてないことを含めて表現

記述問題の構成は、大きく分けて、上のAとBがあり、「AとBの中間」もあります。

今回は、具体例で「読み解く」力を増強する話です。

以下は、「歴史の一場面」ですが、歴史的背景は別の機会にご紹介します。

「歴史の一場面」ですが、「歴史背景抜きに純粋に国語の読み解く問題」として考えてみて下さい。

「松岡」という人物と「西園寺」という人物が登場し、文章を一部変更してご紹介します。

「やりましょう」の「やる」とは何か?」:会話から「読み解く」力

新教育紀行
空と樹木(新教育紀行)

文章の説明:「西園寺」は、外務大臣である「松岡」が率いる「松岡外交訪問団」の一員です。「松岡」や「西園寺」たちは、他の政府関係者と共に列車に乗っており、ある国に向かっています。「西園寺」の名前は「公一」です。

(西園寺公一「貴族の退場」より、一部改変)


「赤い矢」号は、松岡外相のための、サロンおよび浴室付き寝室と食堂の一両、随員用の寝台車一両をつけた豪華編成で、シベリアの大平原を走る。

「赤い矢」号の賓客大日本帝国外務大臣松岡は、大したご機嫌である。

特別食堂車には、モスクワ(当時のロシアの首都)一流のメトロポール・ホテルの料理番と、三人の給仕人とが乗勤して、この賓客のために腕を振るっている。

松岡

公一さんは、ロシアは
初めてだと言いましたネ。

松岡

ロシアを知らなければ
不可ません。

松岡

私は、ロシアは
第二の故郷ですよ。

松岡

私には、ロシア人は
よく解る。

松岡

これでも、書記官でこの国にいた頃には、
ロシアの美人に口説かれたこともあってネ。

松岡

ワッハッハッハ・・・

西園寺

・・・・・

松岡

まあ、ロシア人を
よく研究なさるといい。

松岡

私のやり方を
よく見ていらっしゃい。

松岡

帰ったら、日本をあっと
言わせますよ。

西園寺

・・・・・

松岡

近衛公は、私が何をしでかすだろうと、
心配して居られる。

松岡

私は、ちゃんと
知っていますよ。

松岡

近衛公が、何かアメリカと、ゴチャゴチャ
話し合って居られるのも知っている。

松岡

だがネエ、公一さん、
近衛公は、素人ですよ。

松岡

外交のことは、憚りながら
この松岡にお聞きになったらいい。

松岡

教えて
差し上げる。

西園寺

・・・・・

松岡

日本は、今
御維新以上の時です。

松岡

御維新の時には、三条公を助ける
岩倉があった。

松岡

今日の三条公は、
近衛公です。

松岡

岩倉が無ければ、
不可ないじゃありませんか。

西園寺

・・・・・

松岡

まあ、
それはいい。

松岡

シベリア鉄道は、先が長いのだから、
色々ゆっくりお話ししましょう。

松岡

ロシアは、先ずウォッカと、
キャヴィヤからですよ。

松岡

スターリンさんからの
ご馳走だ。

松岡

やりましょうや


「読み解く力」を鍛える問題1

上の会話において、「松岡」が最後に語っている「やりましょうや」の「やる」とは、どういうことを意味するのか、具体的に、簡潔な一文で答えてください。

上の「松岡」と「西園寺」の会話は、歴史に詳しい人なら「ピンと来る」場面です。

「ピンと来る」は歴史に詳しい大人向けの話で、小学生から高校生が「ピンと来た」なら、歴史にかなりの自信を持って良いでしょう。

確かに大日本帝国の運命を分ける場面の一面ですが、歴史的背景は無関係で、「国語として」考えてみましょう。

次回、具体的な「良い回答」と「悪い回答」と、考え方をご紹介します。

新教育紀行

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