前回は「なぜ「師管」という名称なのか?〜師匠を意味する師・師管の「師」の意味・篩(ふるい)のような形状と簡略化〜」の話でした。
師管と道管の役割:植物の栄養分と水分の通り道

前回は、師管という名称に関して、考えてみました。
下記の問いに対して、簡潔に文章で答えて下さい。
(1)師管と道管の役割を、それぞれ説明して下さい。
(2)師管と道管は、どちらも植物の成長に欠かせない存在です。ここで、仮に「師管と道管のどちらかがなくなる」ことを架空に考えた時、どちらがなくなる方が、植物の成長に「先に大きな影響がある」と考えられますか。
(1)は、理科の基本的知識を問う問題です。
これは、知らなければ分からないことですが、復習しておきましょう。
師管:葉で光合成によって作られた栄養分を運ぶ管
道管:根から吸い上げた水や養分を運ぶ水道管のような管
上のように、師管と道管には、ハッキリとした「役割の違い」があります。
道管には、「水道管のような」はなくても良いですが、このように理解すると良いでしょう。
師管と道管の写真や図を復習して、その位置なども理解しておきましょう。
また、出来れば、簡単に図を描いてみると良いでしょう。
男子小学生図を上手く描くのは
難しいけど・・・
図などは「上手く描ける」のが望ましいですが、上手である必要はありません。
「学ぶ」視点においては、図が「上手か下手か」は、どうでも良いことです。
一度、図を描いてみると、



ここは、こうなって
いたんだ・・・



図を描くまで
気づかなかった・・・
「描いて初めて気づく」ことがあるので、「図を描いてみる」をお勧めします。
植物の成長に大事な水と栄養分とは何か?


(1)に関しては、「知識の問題」ですが、(2)は「考える問題」です。
このように「仮にどちらかがなくなる」という問題設定は、入試では出題されないかも知れません。
役割分担をしている状況に対して「両方大事だけど、どっちがより大事か」の視点は大事です。
A.道管がなくなる方が先に大きな影響がある。(1点)
B.植物にとって、栄養分より水分の方が大事なので、道管がなくなる方が先に大きな影響がある。(2点)
C.栄養分が不足しても短期間は問題なく、水分の方が植物にとって重要なので、道管がなくなる方が先に大きな影響がある。(3点)
模範解答例:短期間は光合成以外にも栄養分の確保は可能であり、水分の不足は植物の生命力に直結するため、道管がなくなる方が先に大きな影響がある。
Aは、正しいですが「結論のみ」なので1点です。
理科では、「理由も書きなさい」と書かれていなくても、理由を書くスタンスが大事です。
Bは大体良く、見方によっては満点でも良いでしょう。
Cは「短期間ならば」と期間を明示した上で、水の方が大事という視点が良いです。
これが長期間ならば、師管と道管のどちらでもなくなってしまえば、植物にとって致命的影響となります。


筆者がバルコニーで育てている植物に、水をあげるのを怠ったら、すぐに植物は元気がなくなりました。
葉っぱが萎んでしまい、いかにも元気がなさそうです。
朝に気づいて、慌てて水をあげました。


そして、翌日朝に確認したら、萎んでいた植物は一気に元気を取り戻しました。
植物も生物も「水分は生命に直結する」大事な存在です。
栄養分も勿論大事ですが、人間は「食事しなくても数日はなんとかなる」と言われています。
その一方で、水分を一切止められた場合は、「1〜2日で重大な事態になる」と言われています。
水分の重要性を再確認して、植物や人間の生態を理解すると良いでしょう。

