前回は「「一枚の図」を書き直しながら考えるコツ〜「自分が大事と思ったこと」をノートにメモして理解・連比で状況を把握・三人が移動する時間と距離〜」の話でした。
「抽象的な比」を「具体的な数値」にして立式
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前回までに、問題20(1)を解いて、(2)の途中まで考えました。
(1)を解くプロセスで、いろいろなことが分かったので、「一枚の図」を書き直しました。
・前の問題を解いた結果、分かった事実を追加して「一枚の図」を書きなおす
・書き直しながら、状況を整理して「解く鍵」を探す
このように「図を書き直す」には、時間がかかりますが、「状況を整理」する姿勢は大事です。

Aに追いついてから
Bに追いつくまでの時間は・・・



午後2時からAに追いつくまでの時間の
6倍の時間がかかりました。
(1)から、午後2時までの三人の速さが「A:B:C=25:28:20」とわかりました。
最も早いBは、駅から16.8kmの地点に移動しています。
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上の図では、追いつく部分を拡大して書きました。
ここで、増速したCが、まず距離が1kmと近く速さがBより遅いAに追いつきます。
そして、その後に、距離が2.8km離れていて速さが当初最速だったBに追いつきます。
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不明であるCの「午後2時以降の速さ」を求めるにあたり、AとBの速さを設定しました。
比は分かりやすいですが、その反面「具体的でないので分かりにくい」面があります。
そこで「抽象的な比」を、◯や△などを使って「具体的な数値」にすると分かりやすいことがあります。
・「抽象的な比」を「具体的な数値」に直して、未知数設定
・複数の比が登場したら、「具体的な数値」を問題に応じて立式
比の問題を解くコツ:問題のシーンを具体的に描く
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ここで、この問題が難しいところは、「CがAに追いつく」間にBもCも移動している点です。
そのため、「CがAに追いつく」距離は1kmと分かりますが、その後が不明です。
午後2時の時点では、「CがBに追いつくまで2.8kmの差を縮めれば良い」ので考えやすいです。
ところが、「CがAに追いついた」後、CとBの差が不明である点がポイントです。



CがAに追いつく時間は、
1kmの差を、速さの差で割れば分かる・・・



その時間でBとCが動いた距離を
計算しすれば良いね・・・
「CがAに追いつく時間」は計算可能ですが、A,Cの速さが具体的数値であれば簡単です。



でもさ、Aも比から
考えた速さだし・・・



Cの速さは、これから
求めるから、両方未知数だよ・・・
「A,Cともに速さが未知数」であり、距離のみが具体的な1kmです。
25Speed301ts仮に「Cの速さ」を未知数設定すると、上のように「CがAに追いつく時間」を計算出来ます。



これでは
何がなんだか・・・
そして、その間にBとCの移動距離も計算できそうですが、少し大変そうです。
計算出来ましたが、どうも分かりにくいです。
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ここで、もう一度「追いつくこと」を考え直しましょう。
CがAに追いつく時間=AとCの差1kmを、AとCの速さの差で割る
CがBに追いつく時間=BとCの差?kmを、BとCの速さの差で割る



BがAに追いついた
時、BとCの距離が分かるといいね・・・



午後2時の時点では、
BとCは2.8km離れていたんだよね・・・



この時からの
時間だったら考えやすいね・・・



そうだよね・・・
午後2時からの時間の比較だったら・・・



考えるのが
簡単そうだね・・・
自分の都合が良いように問題を考える
25Speed204tsそれでは、問題の設定をもとに「午後2時からの比較」で考えることは出来ないでしょうか?
ここで、先ほどと同様に「抽象的な比」を「具体的な数値」にしてみましょう。
ここでパッと分かる人は良いですが、「分かりにくい」時は未知数を設定するのが良いです。



分からない未知数が
増えると、ちょっと・・・
未知数が増えることに対して、不安感を感じる人もいると思います。
この「感じ方」や「考え方」は人それぞれなので、「比のまま」でも「未知数設定」でも良いです。
・新たな未知数を設定して「具体的な数値」を「具体的な数値」へ
・未知数は設定せず、「抽象的な比」のまま考える
「1:6の時間」を、未知数で設定しましょう。



あっ、
時間が具体的に分かるね!
それぞれの時間が「抽象的な比」ではなく、「具体的な数値」になったので、足し算などが考えやすいです。
こう考えると、CがAに追いつく時間が、「午後2時から」で考えることができます。



ということは、午後2時から
CがAに追いつく時間も分かる!



こうして、午後2時からの
比較で考えられれば、簡単になるね!
時間の起点を「午後2時から」にすれば、「1:6の時間比」を「1:7の時間比」として考えることが可能です。
分かっている距離の差=1kmと2.8kmを、それぞれ「追いついた時間の比」が分かりました。
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この「分けられた比を合体させる」発想こそが、この問題の「解く鍵」です。
ここまで来たら、もう少しなので、考えてみましょう。
次回は(2)を解きます。