前回は「ベトナムからゾウを呼んだ徳川吉宗〜「日本初のゾウ」長崎から江戸へ・「太平の世」江戸時代もたらした「超内向き思考」・鎖国と冬眠状態〜」の話でした。
大日本帝国の国家の姿:「曖昧極まりない」国家体制

昨年2025年は、ちょうど「終戦(敗戦)から80年」の節目の年でした。
たかだか80年前、我が国は、同盟国ドイツ敗北後、「たった一国で世界中を敵に回す」状況でした。
日本の都市という都市がすべて、米軍によって焼き払われました。
主として焼夷弾による「絨毯爆撃」によって、東京をはじめとする都市は灰燼となった1945年。
絨毯爆撃に関する話を、上記リンクでご紹介しています。
沖縄や硫黄島での敗北を迎え、当時の大日本帝国陸海軍大本営は、「最後の戦い」を目論みました。

阿南惟幾我が帝国陸軍は
本土決戦の準備がある!



その通り!
最後の最後、本土で戦うのだ!



海軍も最後の
渾身の力を振り絞りましょう!



本土決戦など、
やったら、我が国は滅亡する!
当時、米国や英帝国など諸外国は「軍部は政府に従う」国家の姿でありました。
そのため、「陸軍の最高意思決定は大統領・首相及び陸軍大臣」でした。
同様に、「海軍の最高意思決定は大統領・首相及び海軍大臣」でした。
大英英国やドイツは「空軍が陸海軍から独立」であり、空軍は別でした。


当時の大日本帝国は「天皇=大元帥」であり、天皇が「全てのトップ」でした。
ところが、「天皇が主体となって何かを決定する」ことは、「ほとんどない」状況でした。
| 職名 | 役職 |
| 参謀総長 | 帝国陸軍の最高指揮権(統帥権)のトップ |
| 軍令部総長 | 帝国海軍の最高指揮権(統帥権)のトップ |
| 陸軍大臣 | 帝国陸軍の軍政のトップ |
| 海軍大臣 | 帝国海軍の軍政のトップ |
そして、大日本帝国陸海軍では、上の四名が「並立した形」で意思決定が行われていました。
そして、「超越した存在」が天皇でした。
内閣総理大臣は「政府のトップ」であり、軍部には「介入できない」立場でした。
例えば、陸軍においては、参謀総長と陸軍大臣が「並び立つ」形でした。
ここで「参謀総長と陸軍大臣」の「どちらが上」かは不明ですが、参謀総長の方が「格上の雰囲気」でした。
その一方で、「人事権を有する」陸軍大臣は、「参謀総長罷免権を有する」場合もありました。
つまり「格上の参謀総長を、格下の陸軍大臣が罷免し得る」謎の雰囲気でした。
この「よく分からない」」空気の中、大日本帝国では戦争が遂行され、敗戦に至りました。
つまり、「曖昧極まりない」国家体制こそが、「大日本帝国という国家の姿」の本質でした。
当時の新聞紙面から歴史を理解:日本における第二次世界大戦開戦時の新聞


昨年が「敗戦(終戦)80年」のため、今年の中学入試〜大学入試で、敗戦(終戦)に関する問題が増えそうです。
その一方で、この「敗戦(終戦)」は「語りにくい」面があります。
そのため、出題としては「敗戦(終戦)後の戦後の日本」の話が中心になりそうです。
「歴史を直視する」姿勢から考えると、戦時中の問題を出題は「好ましい」と筆者は考えます。
その一方で、「戦時中の話をどう展開するか」は難しい面があります。
今回は、上の「日本における第二次世界大戦開戦時」の朝日新聞を読んでみましょう。
この紙面は、1941年12月9日発刊の朝日新聞です。
新聞は、各社によって「報道姿勢が異なる」が実態ですが、「概ね正しいこと」を報道します。
ネットが盛んになった今、以前よりも新聞はだいぶ少なくなりました。
現在と比較すると、「全く異なる紙面の雰囲気」が感じられます。
新聞の一面全てが戦争に関する話であり、



帝国・米英に
宣戦を布告す
自らの国家を「帝国」と呼んでいた、大日本帝国。
当時、世界中には帝国が多数あり、例えば「大英帝国」も帝国でした。
当時の大日本帝国の友邦・ドイツもまた、ドイツ帝国またはドイツ第三帝国と呼ばれました。
そのため、「帝国」では「どこの帝国?」となってしまいますが、



「帝国」と呼んだら、
我が国・大日本帝国を指すのだ!
その中で、「自らの帝国」を「帝国」と呼んでいたのが新聞各紙でした。
ご存知の人も多数いると思いますが、当時の大日本帝国では、「横書きは右から左へ」で現在の逆でした。
そのため、「横書きをパッと読むのは難しい」面があります。


戦争の言葉が多数並びますが、記事の中で次に大きな文字であるのが、



宣戦の大詔
煥発さる
当時の大日本帝国のトップ・昭和天皇によって「宣戦布告が発せられた」ことを明示していました。



我海鷲、
ハワイ爆撃
「我海鷲、ハワイ爆撃」は真珠湾奇襲攻撃を指します。
上のような、「当時発行の資料」を読むことは、「当時の視点」で歴史を感じられます。
次回は、本紙面をさらに読んで、当時の「空気」を理解しましょう。


