前回は「日本が諸外国と締結した最初の条約は何か?〜「分かること」は書く・中国の儒教発祥の「尊王」思想・「攘夷」と合体して「尊王攘夷」へ〜」の話でした。
現代「日米同盟」の基礎「日米安全保障条約」:同盟と条約

1854年に、当時の日本政府であった徳川幕府が最初に締結した諸外国との条約。
それは、米国と締結した日米和親条約です。
中学受験生ならば常識である日米和親条約ですが、今ひとつ意味が不明です。
日米「和親」条約ということは、「和親すること」を目指す条約のはずです。
条約は、国と国の間で定める「取り決め」であり、極めて重要です。
現在の日本は、米国と「日米同盟を結んでいる」状況です。
この「日米同盟」の基礎となるのは、何でしょうか?
なんらかの「取り決め」がないと、「同盟関係にある」とは言えないです。
日米安保条約(正式名称・日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約)
時々、国会でも問題になる「日米安保条約」が日米同盟の基礎です。
正式名称は「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」と少し長いです。

戦時中、大日本帝国という名称だった日本は、ドイツ・イタリアと三国同盟を締結しました。
この三国同盟は「日独伊三国軍事同盟」とも言われ、極めて強固な軍事同盟でした。
あるいは、当時の大日本帝国は1941年に、ソ連と「日ソ不可侵条約」を締結しました。
「不可侵条約」は、極めて分かりやすいです。
文字通り、「お互い不可侵」であることを締結する条約であり、「お互い攻め込まない」取り決めです。
スターリン ソ日不可侵条約を
破棄します!
ところが、ソ連は「日ソ(ソ日)不可侵条約」をあっさり破棄しました。
そして、もはや「降伏しかない」大日本帝国に一方的に襲いかかったのがソ連でした。
このように、同盟や条約は「一方的に破棄」することも可能です。
ところが、それをやると「一気に信用を失う」ことにつながります。
1854年に締結した日米和親条約の特徴を簡潔に説明して下さい。
今回は、日米和親条約の特徴を考えましょう。
日本和親条約の特徴は何か?:驚愕の「片務的最恵国待遇」


日米和親条約の具体的な内容を、現代語で確認しましょう。
第1条
・日米両国・両国民の間には、人・場所の例外なく、今後永久に和親が結ばれる。
第2条
・下田(即時)と箱館(函館)(1年後)を開港する(条約港の設定)。この2港において薪水、食料、石炭、その他の必要な物資の供給を受けることができる。
・物品の値段は日本役人が決め、その支払いは金貨または銀貨で行う。
第3条
・米国船舶が座礁または難破した場合、乗組員は下田または箱館に移送され、身柄の受け取りの米国人に引き渡される。
・避難者の所有する物品はすべて返還され、救助と扶養の際に生じた出費の弁済の必要は無い(日本船が米国で遭難した場合も同じ)
第4条
・米国人遭難者およびその他の市民は、他の国においてと同様に自由であり、日本においても監禁されることはないが、公正な法律には従う必要がある。
第5条
・下田および箱館に一時的に居留する米国人は、長崎におけるオランダ人および中国人とは異なり、その行動を制限されることはない。
・行動可能な範囲は、下田においては7里以内、箱館は別途定める。
第6条
・他に必要な物品や取り決めに関しては、両当事国間で慎重に審議する。
第7条
・両港において、金貨・銀貨での購買、および物品同士の交換を行うことができる。
・交換できなかった物品はすべて持ち帰ることができる。
第8条
・物品の調達は日本の役人が斡旋する。
第9条
・米国に片務的最恵国待遇を与える。
第10条
・遭難・悪天候を除き、下田および箱館以外の港への来航を禁じる。
第11条
・両国政府が必要と認めたときに限って、本条約調印の日より18か月以降経過した後に、米国政府は下田に領事を置くことができる。
第12条
・両国はこの条約を遵守する義務がある。
・両国は18か月以内に条約を批准する。
日米和親条約の内容を見ると、割と「簡単な内容」であることが分かります。



日米和親条約の
特徴を書きなさい。
似た問題が、仮に出題されるとすると、もう少し具体的内容であると思われます。
「特徴は何か?」は主観によるので、色々と書けます。
上の日米和親条約では、交易・通商に関して一切触れていないことも重要です。
この条約を見ると、第9条が気になります。
「米国に片務的最恵国待遇を与える。」の「片務的」は、かなり問題です。
「片務的」とは「一方的」であり、「日本から米国」のみであり「米国から日本」はありません。
日本が他国と結ぶ条約において、米国に対する条件より有利な条件を与える場合、自動的に米国に対しても、同条件を与える規定
「最恵国待遇」は、少し難しいですが、上のような規定です。
よくぞ、このような「不平等であることが誰でも分かる」条約を、徳川幕府は結んでくれました。
A.不平等であること。(1点)
B.通商や貿易に関する規定がなく、不平等であること。(2点)
C.通商・交易に関する規定がなく、「片務的最恵国待遇」を米国に与えた不平等な規定があること。(3点)
模範解答例:通商・交易に関する規定がなく、「片務的最恵国待遇」を米国に与え、日本が他国と結ぶ条約において米国に対する条件より有利な条件を与えた場合、自動的に米国にもその条件を付す点で極めて不平等であること。
Aは、極めて端的ですが、日米和親条約の本質を示しています。
「端的すぎる」記載ですが、答えとしては不十分ですが、最も根幹的である点です。
Bは、「通商や貿易に関する規定なし」が良いです。
Cは、中学受験〜高校受験では、模範解答として良いでしょう。
模範解答例は、少し細かすぎて「簡潔」ではない点があります。
「片務的最恵国待遇」の説明がないと、Cとなります。
「片務的最恵国待遇」を説明するには、これくらい説明しないと説明できないのも事実です。
模範解答例は、「入試の解答」というよりも、「きちんと歴史を理解」の参考例です。
出題が少ない「条約の内容」ですが、最初の条約=日米和親条約を理解するのは大事です。
幕末維新を、「諸外国との条約から考えて理解」する姿勢も大事と考えます。

