今後増加する「記述式」への姿勢〜子どもを丁寧に選抜・子どもの人数急増で導入された「共通一次」・「一斉に短期間に」選抜|記述式の未来1・中学受験・高校受験・大学受験

前回は「経線と緯線とは何か?〜地球上の位置を決める「地球座標」・地球の地点を想像・小学生が目指さない「模範解答例」〜」の話でした。

目次

子どもの人数急増で導入された「共通一次」:「一斉に短期間に」選抜

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今回は、中学受験・高校受験・大学受験及び、中学高校の定期テストにおける記述の話です。

話の軸は、中学受験を想定して進めますが、内容は大学受験や定期テストも同様と考えます。

試験問題では、大きく分けて「3つのタイプ」があります。

試験問題の3つのタイプ

A.選択肢を選ぶ問題

B.人名や事件名など名称や単語を答える問題

C.記述で答える問題

上記のA~C以外のタイプの出題もありますが、大きく分けると上の3つとなります。

これらの中で、最も分かりやすいのがAの「選択肢問題」です。

現在、「大学入学共通テスト」と呼ばれる共通試験は、全て選択肢問題です。

筆者が受験生の頃は、「センター試験」と呼ばれました。

センター試験の正式名称は「大学入試センター試験」です。

名称が変更となったのは試験科目が加わったり、いくつかの変更があったことが理由と思われます。

国立大学の選抜・二次試験の一部であり、私立大学によっては「共通テストのみ」の受験もあります。

この共通テストは、昔は「共通一次(大学共通第一次学力試験」と呼ばれていました。

共通一次は、1979年から実施され、筆者が生まれた2年後のことでした。

1979年=昭和54年からスタートした共通一次は、おそらく10年前の1970年頃から構想があったでしょう。

文部省(文部科学省)

最近は、子どもの数が
一気に増えた・・・

文部省(文部科学省)

入試の現場は
大変だから・・・

文部省(文部科学省)

共通のテストで
一斉に短期間で選抜する試験があると良い・・・

ちょうどベビーブームの大量の受験生を「一斉に、短期間に選抜」する試験が求められた結果と考えます。

確かに、選択肢の問題は「巧妙に考えられている」問題が多いです。

社会や理科の知識を問う問題に対しては、

出題者

ここは徳川家康か
徳川家光か、きちんとした知識が必要だ・・・

「4つの選択肢」に対しては、「最後の2つの判断が難しい」ように、うまく作られています。

あるいは、数学や物理の選択肢では、

出題者

このように誤った
考え方をすると、誤答の(C)となる・・・

「誤った法則の理解をした結果」の選択肢が、きちんと準備されていることが多いです。

そのため、「学力を図る」には、ある程度良い点があります。

その一方で、「選択肢」は「選ぶだけの問題」であるのも、また事実です。

今後増加する「記述式」への姿勢:子どもを丁寧に選抜

New Educational Voyage
昔の小学校の机と椅子:旧開智学校(新教育紀行)

この「共通一次」は、試験に対して「選択肢中心」の甚大な影響を与えました。

A中学の教員

大学入試では
共通一次で高い点数を取る必要がある!

A中学の教員

そして、共通一次は、
全てが選択式の試験だ・・・

A中学の教員

ならば、選択式試験に
早い頃から慣れておくのが良い!

小学校から高校の教育の「出口」の一つは、大学受験です。

筆者は、中学から高校の教育や学びは「大学受験の前座」とは考えていません。

その一方で、「大学受験を完全に無視した中高教育」もまた、原則として「あり得ない」です。

この「大学受験と中学・高校の教育」は、「大学付属校」は別となります。

いわゆる「エスカレーター式」と呼ばれる、大学附属校は、「そのまま上にいく」場合は大学受験不要です。

ところが、日本の大多数の高校においては、「大学受験は必須」となります。

そして、1979年から開始し、現在も名前を変えて存続している「共通一次」という選択式テスト。

現在の「選択式中心」の試験は、昭和末期から強まった傾向と考えます。

筆者は、本来試験は「記述式中心が望ましい」と考えます。

選択式試験は、機械でも採点が可能であり、「簡単に試験を採点」することが可能です。

AIの能力が高まった現在は、記述式もある程度は「コンピュータによる採点」が可能でしょう。

その一方で、記述式の採点には、校風・教育理念・教員の思想が大きく反映されます。

これらの情報を、コンピュータに入力すれば「コンピュータ採点」も可能と考えます。

出題者

記述はコンピュータ採点ではなく、
私がやりたい・・・

その一方で、一定の教育理念を持つ教員は「自身での採点」を望む傾向が強いと考えます。

そして、大変残念なことに、現在の日本は少子化が進んでいる状況です。

つまり、共通一次が導入された時代とは「真逆の傾向の時代」となっている日本。

選択式試験と比較して、子ども・生徒を「丁寧に選抜」する記述式試験。

そして、より「単なる知識」ではなく「考える力」が求められている現代。

今後、記述式はジワジワと増加してゆくと考えます。

もし、最近の過去問で、

男子小学生

最近、記述の問題が
少し増えてきた・・・

このような傾向があるときは、「さらに増加する」可能性が高いです。

ぜひ、記述式の問題に慣れておき、準備をしておきましょう。

そのための最短の道は、「まずは自分で記述の答えを書いて、模範解答例を真似る」ことです。

とにかく、記述問題は「書いて学ぶ」姿勢で学力を高めましょう。

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