前回は「「詰め込み教育」と「ゆとり教育」の本質的方向性の違い〜急速な復興と高度成長と教育現場・高度成長で「失ったもの」〜」の話でした。
武蔵中学「中学一年生・校内切りつけ」事件の衝撃

昨日2025年11月28日の昼、武蔵中学校・高校内で発生した「中学一年生の切りつけ」事件。
筆者は武蔵中学・高校の卒業生であり、1996年に武蔵高校を卒業しました。
そのため、今回の事件には大変な衝撃を受けており、大変残念に思っています。
2025年11月29日10時時点で、判明している事実は下記の通りです。
・事件があったのは英語の個別テスト中、2人は待機のため控え場所になっている教室にいた。
・他にも30人以上の生徒がいたが、教員はいなかった。
・2人は「何らかの理由」で口論になり、一方がカッターナイフを取り出した。
・傷は首の左側の1カ所で、15cmほど切られた。
・傷は軽傷であり、全治1週間程度。
武蔵中学・高校の杉山校長は、28日夜に記者会見を行いました。
杉山校長捜査への協力と生徒へのケアを進める。
再発防止に努めたい。



過去に2人の間にトラブルは
確認されていない。
ここで、気になるのは「過去に2人の間にトラブルは確認されていない。」です。
「過去にトラブルがなかった」はずはありません。
おそらく、現時点では「公表するのは困難」と判断したと思われます。
二人の間には、なんらかのいがみ合いが過去にあったはずです。
そして、それを周囲の生徒は知っているはずです。
ただし、「学校側の発表」としては、「どのように発表して良いか」が極めて難しいです。
「逆上して殴った」程度ならば理解できますが、「カッターナイフで切りつける」は尋常ではありません。
この点では、今回「切りつけた側の少年」は一線を超えており、「極めて稀な事態」です。
それぞれの個性がある生徒に一人ずつ向き合うことは、教員の立場では難しい面もあります。
武蔵中学校・高校には、今後、具体的な対策等をしっかりとすることを願います。
求められる他の中高の教育対策:学校教育と中学生の気持ち


今回の「カッターナイフ切りつけ」事件は、筆者が中高生の頃は聞いたことがない事件です。
それほど異例であり、これが成人年齢であれば、「殺人未遂」となります。
今回は未成年の中学生であるため、事件の扱いとしては、特殊になると思われます。
今回の報道では、ほぼ必ず「都内有数の進学校である武蔵中学校・高校」と表現されます。
このため、「勉強のさせすぎ」や「勉強のストレス」から「このような事件に至った」論調も予想されます。
武蔵中学校・高校が、勉強に対して「極めて厳しい」学校であれば、そのような見方も成立し得ます。
ところが、武蔵中学校・高校が、「勉強に厳しい学校ではない」ことは、教育・学校関係者の常識です。
そして、武蔵が「生徒に強いストレスを与える教育」を「行なっていない」こともまた周知の事実です。
この観点から見れば、今回の事件は全ての中学校・高校で「起こりうる」事件と考えます。
ここで、日本の全ての中学校・高校の学校関係者の皆様には、「対岸の火事」と思わないで欲しい。
そして、今回の事件を機に、「中高生の教育」を再考する必要があると考えます。
ネット社会となったことも、今回の事件の一因であると筆者は考えます。
武蔵中学校・高校の名声に甚大なダメージを与えた今回の事件。
今後の武蔵中学校・高校の「新たな取り組み」によっては、大きな転機になるでしょう。
特に「進学校」と呼ばれる中学校・高校の学校関係者の方々には、改めて中高生に向き合って欲しい。
まだまだ精神が幼い中学生・高校生の「学びへの、人生への気持ち」に。

