歴史・地理の暗記方法・ポイント・コツ 2〜文章題から知識を増やす・余話を楽しむ・頭脳を鍛える〜|中学受験・社会

前回は「歴史・地理の暗記方法・ポイント・コツ 1〜穴埋め問題の解き方・学び方〜」の話でした。

目次

「暗記」によって、頭脳を鍛える

理科も暗記することが多いですが、中でも「暗記ばかり」に見える社会。

歴史も
地理も、暗記ばかり・・・

この分厚い参考書を
全部暗記しなきゃ!

「丸暗記は良くない」と、よく言われます。

一方で、「丸暗記によって、学びが進む・思考力が鍛え上げられる」面もあります。

寺子屋(Wikipedia)

昔の郷中教育・私塾・寺子屋などでは、小さな子供たちに、四書・五経などを読ませました。

分からなくても良いから、
声に出して、読んでみましょう!

読んでみるけど・・・
全然分からない・・・

「分からなくても、読んでいるうちに理解できるようになる」学び方をする場合もありました。

この点、「丸暗記」によって「頭脳が鍛えられる」側面があります。

ただ、「丸暗記」というのは、「意味もわからず、ただ暗記」という側面があります。

そこで、

暗記への姿勢

・「暗記」によって「頭脳を鍛える」姿勢

・「暗記」によって「知識を習得する」姿勢

で、暗記を前向きに考えて、一生懸命やってみましょう。

そこで、「暗記」は大変ですが、「知識を習得する」つもりで、やってみましょう。

僕は「丸暗記だけではなく、考える力を養成する学び方」をお勧めしています。

歴史では、「流れを理解しながら」人物・出来事を「頭に入れる」ようにしましょう。

文章題を解いて、知識を増やす

入試問題の文章題を解きながら、

そういうこと
だったんだ・・・

と、理解しながら暗記を進めて、少しずつ暗記量を増やすことをお勧めします。

入試問題(一部抜粋)を元に、考えてみましょう。

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前回、①は「薩摩」が回答と書きましたが、「島津」だと○なのかxなのか、どちらでしょうか。

これは、「採点者の判断による」と思います。

「歴史を理解していることを問う」ならば「島津藩でも○」ということもあるでしょう。

島津家だったと思うけど、
藩の名前忘れた・・・・・

こう言うとき、まずは「島津」と書きましょう。

実際、島津薩摩藩・肥前鍋島藩など、家の名称と藩の名前を並べて呼ぶことがあります。

薩摩藩出身の幕末〜明治の威人(偉人)たち

何藩だっけ・・・
忘れた・・・

と「薩摩」が出てこない時は、思い出そうとしても、なかなか思い出せないことがあります。

そういう時は、

これだと
思うど・・・

と多少自信がなくても、書いておいて、試験・テストでは慌てずに進めてゆきましょう。

余話を楽しむ姿勢:歴史の流れを知る

今回は、文中で③〜⑤の赤線に注目下さい。

まず、③で上野の西郷隆盛像を見た西郷の奥さんが

うちの人(西郷隆盛)は、
こんな人ではなかった!

と呟いた逸話が出ています。

実は、そうなんです。

上野の西郷隆盛像(新教育紀行)

多くの日本人がイメージしている「西郷隆盛=上野の像」というのは、実は違うのです。

これは、幕末維新などの「歴史好きな方」でも、知らない可能性がある「実話」です。

明らかに「中学受験の範囲を逸脱」しています。

範囲を
逸脱した知識が出るの・・・

それは、
困るよ・・・

読んでみると、問題内容には一切関わりがありません。

なら、
良かった・・・

覚えなくて
良いんだ!

ですから、これは「出題の上では、書く必要のないこと」なのです。

「問題に関係ない」のに、出題者が書いているのは何故でしょうか。

実は、出題者は問題を作成しながら、自分も楽しんでいるのです。

中学校の歴史の先生は、多くは大学で歴史を専攻した方です。

また、中学校・高校で歴史を教える教師は、大学教授と同レベルの方も大勢いらっしゃいます。

歴史が好きだから、
専攻にした!

という「歴史が好きで好きで仕方ない」方々です。

出題者・採点者は「受験問題作成・採点という業務」をしながら、

ここは、
こういう風にまとめて、表現したい・・・

など、楽しみながら業務をしているのです。

この西郷像の話は、歴史家の間でも論争がある非常に大事な論点です。

幕末維新期の軍人の銅像では、騎馬に乗った像など「戦いの象徴」が多数あります。

大山巌像:千鳥ヶ淵(新教育紀行)

大山巌・山縣有朋などの陸軍軍人の像は、多くの場合「騎馬像」です。

太めであった西郷は「騎馬に乗る」ことは、ほとんどありませんでした。

「陸軍大将・近衛都督」であり、明治維新政府の最初の事実上の「陸軍のボス」西郷。

その西郷を表現するのに、軍服ではなく、「犬と散歩するイメージ」にした明治政府。

西郷を「平和なイメージにした」のは。「なんらかの意図」があったのは間違いない事実です。

出題者は、幕末維新期の専門家かもしれません。

「出題に無関係」な事柄を、あえて入試問題の文章題に表現する姿勢。

これは、出題校である「開成中学のアカデミックな校風」を、表しています。

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文章題から歴史の実態を学ぶ

また、④では上野で新政府軍と幕府軍が衝突した、「戦争後の事実」が記載されています。

「幕府軍側の彰義隊の遺体が放置されていた」事実です。

④も出題とは、関係ないのです。

それでも、出題者が

ここは、ちょっと
書いておきたいな・・・

と、考えているから書いているのです。

問題とは関係ないのですが、この事実から分かることがあります。

それは「幕府軍と新政府軍の仲がかなり悪く、憎しみあっていた」事実です。

左上から時計回りに幕臣 榎本武揚、小栗忠順、川路聖謨、勝海舟(WIkipedia)

徳川幕府敗北後、幕府の高官であった勝海舟や榎本武揚のように、新政府側に大臣として入った人もいます。

「流血の少ない世界で稀な平和的革命」と言われる明治維新。

実情は、このようなことだったのです。

文章題で、こういう文章のちょっとしたところも読んで「理解すること」は大事です。

その姿勢は、、歴史の総まとめに役に立ちます。

ああ、そういう事
だったんだ!

とイメージできるようになり、単語や年号が暗記しやすくなります。

過去問や文章題に取り組む際は、できれば出題者と一緒に

当時の雰囲気や
流れは、こうだったんだ!

と、歴史を楽しみながら、「歴史の側面」を覗いてみましょう。

単語や年号を「ひたすら暗記すること」は、多くの方にとって苦痛です。

そう、
ただ暗記はしんどい・・・

こうした穴埋め問題でも、知らなかった人名や出来事等をまとめて復習しながら、

西郷隆盛は、
こういう人だったんだ。

と「文章のイメージ=歴史の実情」を頭に入れましょう。

すると、記述式問題にも対応する力がつきます。

各学校の試験問題は「穴埋め方式がほとんど」「記述式が少しでる」「大部分が記述式」など、様々な傾向があります。

「穴埋め方式」と思っていたら、

理由を
文章で書きなさい。

という記述問題が、少し出る可能性もあります。

文章題をきちんと理解し、事実をイメージしながら、暗記項目を増やしましょう。

記述問題の対応力も同時につける学び方は、効率的で最も良いでしょう。

ある程度暗記の蓄積ができた後は、暗記問題は、このように攻略してみましょう。

参考書を読んでいるよりも、問題を解いた方が暗記の効率がアップするでしょう。

新教育紀行

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